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セブン&アイ次期社長、“ポスト鈴木”は対話重視

井阪隆一氏インタビュー
セブン&アイ次期社長、“ポスト鈴木”は対話重視

井阪次期社長(左)と鈴木会長

 セブン&アイ・ホールディングス(HD)は26日に、鈴木敏文会長の退任と井阪隆一セブン―イレブン・ジャパン社長のHD社長就任を決める。HD社長になる井阪氏は日刊工業新聞のインタビューに「グループ各社の経営陣らとはよく話し合って決める」と対話重視の経営を進める方針を強調した。組織運営や経営課題を聞いた。

 ―鈴木会長の処遇はどうされますか。
 「私はセブン―イレブンの入社。教えを受けたのは鈴木会長で私の骨組みは会長の経営理念である変化への対応、絶対価値の追求がある。会長は多くの社員の精神的支柱でもある。今後も相談をさせていただきたく顧問として残っていただく」

 ―鈴木会長が退任した後の組織運営はどうされますか。
 「鈴木会長の薫陶を受けながら私がセブン―イレブンの経営でやってきたことは、仮説と検証をやりPDCAサイクルをしっかり回すこと。同じ形を各事業会社の経営陣とやる。今後、アクションプランを決める」

 ―HDボードメンバーに創業者の伊藤雅俊氏、また鈴木会長の子息がいます。
 「2人とも素晴らしい人柄。心強いパートナーだ。(ボード運営は)各担当や各社経営陣に話しを聞き、自分の考えを言って方向感を見いだす」

 ―鈴木会長は最終的な商品開発のジャッジまでやっていました。
 「絶対的な価値の追求という方針は変えない。今後も、それをかみ砕いて落とし込む」

 ―イトーヨーカ堂の再建が課題です。
 「3月8日に発表した構造改革をベースに考える。地域によって今の衣食住のバランスが正しいか見極める。店舗によっては売り場を縮小しないといけないとか、テナントに入ってもらうなど、地域によって判断する」

 ―鈴木会長はオムニチャネル化を強力に推進してきました。
 「まだスタートしてから数カ月。お客さまの買い物習慣がインターネットにシフトしている。電子商取引(EC)は消費マーケットの8%にもなっている。間違いなく、これに対応する。ネットとリアルの店舗を持っている強みを生かし、価値ある商品を提供することに変わりはない」

【記者の目・“脱鈴木色”の新組織築けるか】
 カリスマ会長が絶対的な権力の立場から去ることで焦点は次の組織体制に移る。「部下にもあまり怒ることはない」と自らが言うように、温厚な井阪次期社長は対話型で組織運営を進める。インタビューでも「話し合いで」という言葉が幾度か聞かれた。丁寧に話を聞き”脱鈴木色“の新組織を築けるか。井阪氏の手腕が試される。
(聞き手=森谷信雄)
日刊工業新聞2016年5月19日面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
井阪新社長の出番です。カリスマが去った後の新体制をめぐっては種々指摘されていますが「消費者に喜んでもらえる商品を出し続ける」という方針は変わりないとのことでした。

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