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大崎電気がスマートメーター5割増産。関電系の事業所取得

年産440万台へ。西日本へのビジネス展開の弾みになるか
 大崎電気工業は2016年度内に、関西電力系のかんでんエンジニアリング(大阪市北区)から、スマートメーター(通信機能付き電力量計)を手がける大阪市北区の事業所を取得する。事業所取得に加えて子会社の工場も建て替え、総額63億円を投じて生産能力を増強。スマートメーターの国内の年間生産を前年度約5割増の440万台とする。電気の使用状況が詳細に分かるスマートメーターは4月の電力小売り全面自由化を受けて、発注が増える見通しだ。

 大崎電気が取得するのは、スマートメーターなどを生産するかんでんエンジニアリング大淀事業所(大阪市北区)。さらに大崎電気と関西電力との共同出資会社であるエネゲート(同)の千里丘事業所(大阪府摂津市)の老朽化した工場を建て替える。

 大崎電気は東日本を地盤にする電力会社からスマートメーターを大量に受注している。これまでも埼玉事業所(埼玉県三芳町)やシンガポール子会社の中国工場などに、約40億円を投じて生産能力を増強してきた。

 スマートメーターは東日本大震災の発生直後に電力会社が実施した計画停電などを受けて、電気需要の平準化に寄与するとして注目された。14年の法改正を機に、国内電力会社が導入計画をまとめ、仕様を公表している。

 時間帯ごとの詳細な電力使用状況が分かれば、電力自由化後に設定された多彩な料金メニューを選びやすくなる。スマートメーターの需要はさらに高まると見られ、同社は増産体制の整備を急ぐ。
日刊工業新聞2016年5月17日
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
消費者の利便性追求のために4月から始まった電力自由化は、緒に就いたばかりである。電気の使用状況が詳細に分かるスマートメーターの取付けは、消費者の好みに合わせた多彩な料金メニューの提示が可能になるとともに、需給調整の手段として平準化に寄与することが可能となる。電力自由化はスマートメーターの需要を喚起するので、東日本に強い大崎電気が関西に生産設備をもつことで西日本のビジネス展開が容易となる。今後は全国展開を視野に、単にスマートメーターという部品の提供にとどまらず、取付けた部品をネットワーク化(IoT化)し、新たなサービスを付加したビジネスの展開を追求してほしい。

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