AI創作物は誰のもの?著作権・意匠権など取扱い議論 弁理士会

 日本弁理士会(東京都千代田区、伊丹勝会長、03・3581・1211)は人工知能(AI)が自動生成する知財の取り扱いについて検討を始める。著作権や意匠権などを検討して政策提言をまとめる。政府が「知的財産推進計画2016」にAI創作物などへの法制度の検討を明記した。著作権管理などの実務を担う弁理士が議論を深めることは、運用性の高い制度設計につながる。

 日本弁理士会の著作権委員会(渥美元幸委員長=和(なごみ)特許事務所所長)と意匠委員会(篠田卓宏委員長=浅村特許事務所弁理士)で人工知能の知財へ影響を検討する。著作権を巡っては、AIの開発インセンティブとしてAI創作物に著作権を認めるべきだという推進論と、著作権の権利が強いためコンテンツの寡占を招きかねないという慎重論がある。

 著作権は登録審査が要らないため、AIが人間をはるかに上回る効率でコンテンツを量産すると市場を壊すリスクがある。権利の強さに強弱を設ける権利制度も検討されており、AI創作物を含めた強弱を制度として設計できるかが焦点。

 登録制の意匠権では寡占リスクは低いとされる。デザイン支援や類似物調査にAIが使われている。AIと人間の創作物の見分けがつかない場合など、実務としてどう扱うべきか議論が必要になる。

 伊丹会長は「創作意欲や産業発展の促進が知的財産権の本質。医薬やITなど分野によって運用を変える必要もあるだろう。注力して検討していく」としている。

日刊工業新聞2016年5月17日 総合3面

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
05月17日
この記事のファシリテーター

知的財産戦略本部は15年度にAI創作物の著作権について検討してきて、「知的財産推進計画2016」に16年度も検討することを明記。問題点は洗い出したが抽象論に留まったため。16年度は具体策をどこまで詰められるかが焦点になる。AI知財と並行して、著作権の強さにグラデーションのある権利体系が検討されている。この中の最弱の権利がAIに認められることになりそうだ。「AIのコンテンツ生産性は人間の1万倍だから、権利の強さは1万分の1。でも君のAIは創造的だから千分の1」となれば面白いが、権利処理しやすいように統一的に最弱となりそう。一方AIを守る特許は、関連特許を集めたパテントプールという仕組みが浸透している。技術を使いやすいようにまとめてオープン化して、貢献に応じて報酬を受け取る。囲い込みよりも、自分の特許をいかに多く使ってもらって、かつ市場を広げるかが勝負。
(編集局科学技術部 小寺貴之)

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。