総合電機、今期業績は“意志ある”減益とV字回復狙う

次の成長に向けた種まき

 電機大手8社の2017年3月期連結業績は足踏み状態になりそうだ。中国経済の成長鈍化や為替の円高傾向など不安要素が多く、前期と比較できる6社合計の連結売上高は前期比5%減の33兆4600億円になる見通し。一方、自動車の先進運転支援システム(ADAS)やIoT(モノのインターネット)対応など商機は広がっており、攻めの姿勢で先行投資や構造改革を進める動きも目立つ。17年3月期に次の成長への種まきができるか否かが重要になる。

 東芝は16年3月期の不適切会計を受け、構造改革を進めて白物家電事業とパソコン事業の売却を決めた。東芝に限らず電機各社は企業向けビジネスを中心に展開する体制に移行し安定成長を目指すが、足元では中国や新興国の景気低迷が懸念として浮上する。

 社会・産業インフラからスマートフォンまで低迷する分野は多岐にわたる。日立製作所の17年3月期の中国売上高はエレベーターなどの販売が落ち、前期比約15%減の9000億円前後になる見込み。東芝も17年4−9月期は稼ぎ頭のスマホ向けメモリー事業で厳しい局面が続く。

 為替が円高に振れていることも収益を圧迫する。三菱電機は16年3月期から為替レートを見直し、売上高で1300億円、営業利益で500億円押し下げる見込み。

 熊本地震も不安要素だ。熊本県の半導体工場を一時停止した三菱電機、ソニーともに稼働を一部再開したが、特にソニーは被害が甚大で業績への影響が大きくなる可能性がある。


「攻めるのは17年度から」(東芝社長)


 パナソニックの17年3月期は現行の米国会計基準で比較すると、実質的には減収、営業減益。ただ津賀一宏社長は「意思を込めた減益」と説明する。次の成長に向けた種まきを優先し、車載機器分野や住宅分野に重点投資する。

 日立も800億円の構造改革費を計上し、事業ポートフォリオの見直しなどを進める。日立の西山光秋最高財務責任者(CFO)は「売り上げ減を恐れず、対策を進める」と語る。16年3月期に構造改革にめどを付けたソニーも「今後は事業機会をいかに捉えるかのチャレンジ」(吉田憲一郎副社長)とし、成長回帰への準備を進める。

 経営再建中の東芝は「16年度は赤字事業を撲滅する。攻めるのは17年度から」(室町正志社長)と説明。シャープは6月末にも台湾の鴻海精密工業からの出資を受け入れ、再スタートを切る。

日刊工業新聞2016年5月16日

明 豊

明 豊
05月16日
この記事のファシリテーター

苦しい時でも成長の種まきはするもの。問題は経営トップの重心が守りと攻めのどちらに傾くか。減収以外による減益要因を子細にみていく必要がある。トップ(CEO)交代は日立、東芝、NEC、シャープと8社中4社。事業ポートフォリオ的にも8社をまとめる意味も薄れてきているのだが。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。