エネルギー管理システムで「見せて」差別化―日立、電力データ分析サービスに注力
日立製作所がエネルギー管理システム(EMS)「EMilia(エミリア)」で蓄積した電力データの分析サービスに力を入れ始めた。エミリアの2015年度末の採用実績は目標の1万事業所に及ばないが、データ分析にニーズがあることが分かった。電力使用量を計測して表示する”見える化“は当たり前になった。日立はデータを分析し、有益な情報に変換して省エネルギー化に役立てるEMSで差別化する。
日立はエミリアを「統合エネルギー・設備マネジメントサービス」の触れ込みで15年度に売り出した。通常、ビルや工場では、それぞれの専用EMSで電力使用量が計測、収集されている。エミリアは異なる通信規格でもデータを収集できるので、工場やビルを問わずに導入が可能だ。多拠点を抱える企業は電力を統合管理できる。
日立の産業ユーティリティソリューション本部の榎堀武主任技師は「全事業所を管理しきれない企業の課題を解決できる」と開発の狙いを話す。実際の市場の反応も「想定通りだった」という。
しかし、誤算があった。使用実績をグラフ表示する機能を使って、省エネ施策を検討してもらうつもりだったが、「利用者は意外とグラフを見ない」(榎堀主任技師)ことが判明した。単純な見える化だけでは不十分で、データを有益な情報に変換する分析が必要と分かった。
実際に他のデータと組み合わせて分析したいという要望も多かった。工場なら生産量、流通業なら売上高や来客数との相関が分かると、利用者も電力に関心を持ちやすい。
そこで、米子会社の日立データシステムズ(カリフォルニア州)が15年5月に買収した米ペンタホ(フロリダ州)のデータ分析ソフトウエアの活用を始めた。ペンタホは、データをあらゆる角度から分析し、利用者が意思決定できる情報を提供する「ビジネスインテリジェンス(BI)」と呼ばれる手法の実践ツールを提供している。
エミリアの電力データをペンタホに取り込むと、利用者が省エネ施策を検討するための情報に加工される。例えば、拠点別の外気温の変化と使用電力の増減を一覧にできる。
温度変化に反応しやすい拠点があぶり出され、利用者はその原因を探ろうとする。単なる見える化から「何が良いのか、悪いのかを”見せる“」(同)方向へと踏み込んだ。日立はデータ分析を充実させ、エミリアの訴求を続ける。
一時は政府が補助金を出したこともあり、多くの企業がEMSを売り出した。次は電力データの活用が求められており、分析能力によってEMSの実力が試される。
異なる規格でも
日立はエミリアを「統合エネルギー・設備マネジメントサービス」の触れ込みで15年度に売り出した。通常、ビルや工場では、それぞれの専用EMSで電力使用量が計測、収集されている。エミリアは異なる通信規格でもデータを収集できるので、工場やビルを問わずに導入が可能だ。多拠点を抱える企業は電力を統合管理できる。
企業の課題解決
日立の産業ユーティリティソリューション本部の榎堀武主任技師は「全事業所を管理しきれない企業の課題を解決できる」と開発の狙いを話す。実際の市場の反応も「想定通りだった」という。
しかし、誤算があった。使用実績をグラフ表示する機能を使って、省エネ施策を検討してもらうつもりだったが、「利用者は意外とグラフを見ない」(榎堀主任技師)ことが判明した。単純な見える化だけでは不十分で、データを有益な情報に変換する分析が必要と分かった。
実際に他のデータと組み合わせて分析したいという要望も多かった。工場なら生産量、流通業なら売上高や来客数との相関が分かると、利用者も電力に関心を持ちやすい。
そこで、米子会社の日立データシステムズ(カリフォルニア州)が15年5月に買収した米ペンタホ(フロリダ州)のデータ分析ソフトウエアの活用を始めた。ペンタホは、データをあらゆる角度から分析し、利用者が意思決定できる情報を提供する「ビジネスインテリジェンス(BI)」と呼ばれる手法の実践ツールを提供している。
電力の増減一覧
エミリアの電力データをペンタホに取り込むと、利用者が省エネ施策を検討するための情報に加工される。例えば、拠点別の外気温の変化と使用電力の増減を一覧にできる。
温度変化に反応しやすい拠点があぶり出され、利用者はその原因を探ろうとする。単なる見える化から「何が良いのか、悪いのかを”見せる“」(同)方向へと踏み込んだ。日立はデータ分析を充実させ、エミリアの訴求を続ける。
一時は政府が補助金を出したこともあり、多くの企業がEMSを売り出した。次は電力データの活用が求められており、分析能力によってEMSの実力が試される。
日刊工業新聞2016年5月13日 建設・エネルギー・生活1面