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シャープ新役員体制から見えてくること

鴻海“チーム・郭台銘” + ニッポンの家電
シャープ新役員体制から見えてくること

左が次期社長になる鴻海の戴副総裁

 シャープは12日、台湾・鴻海精密工業から3888億円の出資受け入れ後、戴正呉鴻海副総裁を社長に迎えると発表した。戴副総裁は鴻海のナンバー2で郭台銘鴻海会長の信頼が厚く、日本語が堪能。6月末完了を目指す鴻海の出資後に、シャープ取締役会を開いて社長就任を正式決議する。郭台銘会長は側近を送り込んでシャープの経営を掌握し、早期黒字化を目指す。

 高橋興三シャープ社長は鴻海出資後に退任する。2期連続の巨額赤字計上について「責任は承知している。鴻海の出資を得て新しいステージに行く道筋を付けたい」と述べた。

 取締役は現在の13人から9人に減らし、顔ぶれを一新。鴻海側が戴副総裁のほか、劉揚偉虹晶科技会長、中川威雄ファインテック会長、高山俊明フォックスコン・ジャパン社長、中矢一也コニカミノルタ顧問(社外取締役候補)など6人を新たに指名。シャープは野村勝明副社長執行役員、長谷川祥典専務執行役員、沖津雅浩執行役員を指名した。6月23日の株主総会で選任の予定。鴻海指名の内4人は出資後就任する。

 V字回復を果たすため一層のリストラを進める。ディスプレーパネル事業は生産後工程の集約や調達などで協業のシナジーを出す。本社は大阪市内から堺市で鴻海と共同運営する大型液晶工場隣の工場に移転。東京支社の一部も千葉市の自社ビルに移す。

 12年度と15年度に実施した約6000人の希望退職に続く人員削減も検討。削減規模は最大7000人に及ぶとみられる。

 一方、「優秀人材の維持は中長期的に大きな意味を持つ」(高橋社長)ため、給与削減の早期廃止や、ストック・オプション報酬制度の導入を進め、優秀人材の流出に歯止めを掛けたい考えだ。
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日刊工業新聞2016年5月13日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
鴻海のナンバー2である戴副総裁氏を社長に据えたのは順当。それに鴻海のグループ会社のトップである劉氏、鴻海の技術顧問を長く務めているファインテックの中川氏など郭台銘会長から信認の厚い人たちで戴次期社長をサポートする体制。シャープからも経理部門が長く鴻海との液晶合弁会社の会長を務めた野村氏、長谷川氏はもし生え抜き社長なら候補の一人と言われた人物。またヘルシオなど健康家電事業をけん引する沖津雅浩執行役員を取締役に抜擢した。社外はパナソニック出身の中矢氏、ソニー出身の石田氏と日本を代表する2大家電メーカーの経験者を据えるなど、鴻海のマネジメントに日本の商品開発力を生かす編成になっており、よく考えられた人事といえる。

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