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G7環境相会合「持続可能な社会」明確な方向性を打ち出せるか

富山で15・16日開催
 15、16日の両日、富山市で主要7カ国(G7)環境相会合が開かれる。国連で2015年秋から年末にかけて、2030年に向けた世界目標「持続可能な開発目標(SDGs)」と20年以降の地球温暖化対策の新たな法的枠組み「パリ協定」が相次いで採択後、初めて開かれるG7閣僚級会合になる。持続可能な社会の実現に向け、明確な方向性を打ち出す狙いがある。

 参加閣僚はG7の7カ国と欧州連合(EU)。G7環境相会合が開かれるのは09年以来7年ぶり。

 世界に共通する社会・経済・環境の課題をまとめたSDGsは、17分野169項目の持続可能な開発目標を定めた。環境省によると「少なくとも12分野が環境関連」(地球環境局)。G7として1年目の取り組み状況を共有して議論を深め、実施に向けた強い意志を国内外に示し、率先して行動していくことを目指す。

 一方、パリ協定は4月下旬に国連本部で署名式が行われ、温室効果ガスの2大排出国である米国と中国、日本など国際条約の署名式としては過去最多の175カ国・地域が参加した。同協定の早期締結・発効とともに、各国による気候変動対策の徹底・強化を促すメッセージを発信して主導的役割を果たす。

 議長を務める丸川珠代環境相は「昨年、SDGsやパリ協定の採択など、大きな進展があった。その成果を受けた最初のG7になり、実施に移していく年という思いを共有できるように、各国としっかりと議論して”いい発信“ができる会合にしたい」としている。

 また、丸川環境相は会合の冒頭で、参加閣僚に東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興の進捗(しんちょく)について報告する予定。環境省が所管する除染作業の状況が中心となる。
日刊工業新聞2016年5月12日 総合2面
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
持続可能な社会の実現に向けて、すべての主要排出国が気候変動対策に取り組む「パリ協定」が採択された後の初のG7環境閣僚級会合である。今回は、気候変動対策に限定してコメントしたい。経団連では、産業界の対策の柱として「低炭素社会実行計画」を着実に推進し、政府の目標達成、地球規模・長期の気候変動対策に貢献すると公表している。 一方、家庭部門のCO2排出量は過去増加の一途をたどってきた。今後はスマートメータ取付けにより電力データを活用する省エネ対策を実行すべきだ。2030年までに「家庭部門4割削減」という明確な目標の下で国民運動のPDCAサイクルを展開し、環境省が責任をもって目標の実現に取り組む姿をG7環境閣僚級会合で披露し、世界に発信してほしい。

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