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アップル、SAPとの提携による収益貢献は少し先だが大きな節目の年に

巨人同士が創り出す新たなエンタープライズ領域の可能性は?
アップル、SAPとの提携による収益貢献は少し先だが大きな節目の年に

アップル本社で提携を発表するアップルのクックCEO(左)とSAPのマクダーモットCEO(SAP提供)

 米アップルと独SAPは5日、法人向けのモバイルアプリの開発で提携すると発表した。SAPは、自社の「HANA」データベースソフトウエアを活用し、iPhone(アイフォーン)とiPad(アイパッド)向けにアプリを開発する。アップルはアイフォーンの売れ行きが減速、法人向けビジネスに注力していくと見られる。

 SAPはアップルの基本ソフト(OS)「iOS」向けに特別に設計されたアプリを開発する。利用者の対象は医者や工業分野の技術者などになる。両社は年末までにソフトウエアの開発キットを発表する予定。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)とSAPのビル・マクダーモットCEOは、今回の提携で数百万人のソフトウエア開発者が関与する可能性があり、数百万台の端末販売も見込める見通しを示した。

 アップルはこれまで、法人用ソフトウエア市場からは距離を置いていたが、この2年間で米IBMや同シスコシステムズと相次いで提携。クックCEOは「企業はモバイルによって可能となる利点をあまり生かせていない」とし、企業がより複雑な作業を自社アプリで実行できるようにする狙いがある。

 SAPのビジネスソフトウエアは世界の大手2000社のうち87%で利用されている。アップルが昨年9月に発表した法人向け事業の売上高は、過去1年間で約250億ドル、全体の売り上げの約14%を占める。



 
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
アップルがIBM、シスコに続いてSAPとも幅広な提携へ。エンタープライズ領域での提携を毎年発表するアップルに、この数年の劇的な成長の余裕がなくなってきたように映るのは気のせいではないだろう。iPhone販売が曲がり角にきており、クックCEOは先日異例の次期iPhonへの期待感を匂わせる扇動的なコメントを出したばかり。また、一度握れてしまえば長く使われることになるエンタープライズ領域でのアライアンスが業績貢献するのは少し先。今年が一つの節目となるであろうアップルと、今回のSAPを始めとするエンタープライズ領域の雄がこれまで以上のスピーディなコラボを実現する事が期待される。

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