地域ブランド、「四万十ドラマ」にみるヒット商品の作り方

「ローカル、ローテク、ローインパクトというコンセプト」

 四万十ドラマ(高知県四万十町)は1994年に四万十川中流域の旧3町村が設立した第三セクターとして活動を開始。その時、職員として採用された畦地(あぜち)履正さん(現社長)に与えられた黒字体質構築までの猶予期間は3年間だった。

 「四万十川に負担をかけないものづくり」をモットーに、「今ある地域資源に付加価値をつけ、知恵を絞って商品にする」ことを方針に掲げ、取り組みを開始。96年には会員制度「RIVER」を発足。翌97年には湯船に浮かべるだけでヒノキの香りが漂うヒット商品「四万十ひのき風呂」を送り出した。

 その後もコメに混ぜて炊くだけで新米のようなおいしいご飯になるという「かおり米十和錦」。「しまんと緑茶」「しまんとほうじ茶」と続き、ニューヨークの美術館や高級ブランド店なども購入に動いた「四万十川新聞バック」などを続々と生んだ。

 加えて、国道381号線沿いの「道の駅」事業。誰もが尻込みをする中で、畦地さんは3年で黒字化する事業計画を立て、役員を説得、道の駅「四万十とおわ」の運営に乗り出した。

 2人で始めた「四万十ドラマ」は従業員35人を雇用、6億円(16年3月期)を売り上げるまでに成長。地域の中核企業体となっている。成功要因の一つに「ローカル、ローテク、ローインパクトというコンセプトがある」と畦地社長はいう。

 ローカルとは四万十川を共有財産に足元の豊かさや生き方を考えるネットワークを構築。「ローテク」は地元に息づく素材や、技術、知恵を生かした1・5次産業にこだわったモノづくり。ローインパクトは四万十川に負荷をかけない環境ビジネスなどの仕組みづくりのことだ。

 そのコンセプトをつくったのが地元を知り尽くしたデザイナーの梅原真氏。「結局、他人の芝生を望まない。足元を知る、地域を知ることがまず最も必要なのです」(畦地社長)と話す。

 畦地社長は元農協職員。「農協はいい仕組みだが、顧客の顔が見えず限界を感じていた。地域の疲弊も進み何かをしなければと考えていた時に募集があり、飛び込んだ」という。梅原さんと二人三脚で書き上げた“ドラマ”の筋立ての良さが成功を生んでいる。

広島銀など瀬戸内46社が新会社


 広島銀行など金融機関19社と事業会社27社は「瀬戸内ブランドコーポレーション」を設立した。広島、岡山など瀬戸内海沿岸の7県と13企業・団体で設置している「一般社団法人せとうち観光振興機構」(佐々木隆之会長)と連携し、瀬戸内ブランド推進体制を確立する。事業支援のためにファンドを組織して資金などを供給する。

 同コーポレーションへ出資する金融機関は広島銀行、中国銀行、日本政策投資銀行など。訪日観光客が増える中、瀬戸内海を北海道、沖縄などと並ぶリゾート地にすることが目的の同観光振興機構とともに地域DMO(観光地経営組織)の主要な役割を担う。

 本社は広島市中区に置き、社長には水上圭氏が就いた。ジェイ・ウィル・アドバンス、クールジャパン機構とともに観光ファンド「せとうち観光活性化ファンド」を設立し、成長産業と位置づける観光関連事業者などへ資金を支援する。

北海道経済同友会「ブランド強化へ投資必要」


 北海道経済同友会は「北海道ブランドの活用と強化による北海道地域の活性化」と題した提言をまとめた。国内の地域ブランド調査では全国トップの魅力度を維持しているが、近年では数値が低下傾向にある。北海道の有する価値の再確認やブランド強化に対する継続的な投資が重要だとしている。具体的にはブランドイメージの明確化や地域間の戦略的な連携などを提言しており、企業や行政などに配布する。

日刊工業新聞2016年4月25日/5月2日/5日

山口 豪志

山口 豪志
05月06日
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地域ブランドの確立と育成は、国内向けのみならず海外向けにもますます必要になるだろう。地域の特色を出しつつ、訪れる方々がどう彼の地を楽しんでもらえるか、国内だけでなく世界中の観光地と競う時代になる。中長期視点に立ったブランド育成が求められるので、行政の役割に大いに期待したい。

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