《「地域点描」近畿編》産業構造が変質。強みの医療を軸に成長へ

インバウンド拡大、航空やIoTにも打って出る

 関西にはモノづくりの中小企業が集積している。しかしここ数年は、三洋電機の消滅やシャープの苦境、パナソニックの拠点統廃合など、関西経済をリードしてきた大手電機メーカーの業績は相次いで低迷。これら大企業へ依存していた多くの中小企業も、かつてない逆風にさらされた。

 一方で外国人旅行者が関西にも殺到するなどインバウンド需要が拡大を続ける。産業構造が大きく変わってしまった今、政権の経済政策「アベノミクス」の成否にかかわらず、中小企業は自らの手で新たな成長の道を模索しなくてはならない。どのような道を歩もうとしているのか、関西のそれぞれの地域で、さまざまな取り組みが始まっている。

もたつく景気回復。中小、新産業に活路


 「輸出・生産面に新興国経済の減速の影響が見られるものの、緩やかに回復している」(宮野谷篤日銀大阪支店長)と、関西経済にも勢いが戻りつつあるように見える。

 しかし企業マインドを示す3月の短観の業況判断DIは、全産業で前回比5ポイント悪化。これは関西経済連合会と大阪商工会議所が3月に発表した経営・経済動向調査(会員企業1675社中428社が回答)にも現れる。

 1―3月期の国内景気のBSI値(「上昇」から「下降」を引いた数値)も、前期(15年10―12月)の4・9に比べ、マイナス28・1と7期ぶりに大幅下落した。自社業況も3期ぶりにマイナス圏となり“緩やかな回復”とは言いがたい。

 一方で、関西のインバウンド(訪日外国人)は活況を呈している。3月末に大阪観光局が、日本政府観光局の「訪日外客数」や観光庁「訪日外国人消費動向調査」から推計発表した15年の来阪外国人客は716万4000人。14年の375万8000人と比べると、ほぼ倍増した格好だ。

 例えば大阪城天守閣の年間入館者は15年度に233万7813人となり、最高入館者212万4790人記録(83年度)を32年ぶりに更新。15年の大阪府内の宿泊施設の客室稼働率(観光庁調べ=速報値)も、14年から4・2ポイント上昇して85・2%と2年連続で全国の都道府県で1位となるほどの盛況ぶりだ。

 そんな中、モノづくり中小企業はどのような状況にあるのか。歩みこそ遅いが、行政や研究機関などの支援を受けつつ着実に前進している。関西の強みである健康・医療分野に進出する企業、航空機産業へ乗り出す企業、IoT(モノのインターネット)時代を飛躍へのチャンスととらえる企業など、次のステージで活躍できるよう準備に余念がない。

再生医療参入、京都で活発化


 新たな成長分野として期待が大きいのが医療機器。京都では中小企業の参入が進む。その中核となっているのが京都リサーチパーク(KRP、京都市下京区)だ。再生医療サポートプラットフォームを09年にスタートした。

 これまでに航空宇宙関連機器を手がけるデコレ(大阪府吹田市)が、培養時のコンタミを防ぐキャニスターを商品化。治具や自動化機器を設計開発する積進(京都府京丹後市)は実験用マウスの頭部固定装置を開発し、大学の研究室などで評価されている。半導体製造装置のサンキ(京都市伏見区)は効率的に溶液を吸引できるマルチチャンネルアスピレーターを事業化し、さらに医療事業の拡大を狙って15年末に医療部門を独立させた。

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日刊工業新聞2016年5月4日

山口 豪志

山口 豪志
05月05日
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近畿地方が医療を強みとして再度活気を取り戻す。
メディカルツーリズムというカタチでアジアをはじめ、海外から広く日本の医療を受けに来られる流れが出来れば近畿地方は世界有数の特色を持ったエリアに成るだろう。

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