<三菱自不正>水島生産停止、組合と休業中の賃金補償で交渉

<追記>岡山県内の部品15社操業停止、下請先約7800社への影響はどこまで広がるか

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水島製作所
 三菱自動車の燃費不正問題の影響が雇用や地域経済に広がっている。三菱自は水島製作所(岡山県倉敷市)で軽自動車の生産を担当する従業員約1300人を自宅待機とし、労働組合側とも賃金交渉を始めたようだ。また岡山県によると取引先部品メーカー15社が操業を停止、9社が自宅待機している。三菱自グループの下請け先は約7800社あるとされ、影響の広がりが懸念される。

 三菱自は水島製作所で燃費試験データの不正操作が発覚した軽の生産ラインを4月20日から停止。軽の生産に携わる約1300人の従業員を自宅待機としている。また労働組合側とは休業中の賃金補償の交渉をはじめたとされ、休業中も賃金の一定割合を支給する方向で交渉しているようだ。

 岡山県は倉敷市や県内商工団体、金融機関などを集めた対策会議を4月28日に開き、調査内容を報告。調査によると、4月27日時点で水島製作所の取引企業は一次下請け先の部品関連工場だけで34社。同製作所、構内協力会社、一次下請けを合わせ県内で1万4140人を雇用しているという。

 また帝国データバンクによると三菱自グループと直接または間接的に取引がある下請け企業は7777社。一次、二次下請け先の総従業員は41万1832人にのぼる。一次下請け先では自動車部品製造が45社で最も多く、金属プレス製品製造が27社で続く。

 地域別では軽以外を生産する名古屋製作所(愛知県岡崎市)がある「愛知県」が1409社と最多だった。三菱自は試験データの不正操作以外に、1991年から国内法規とは異なる方法で燃費試験の走行データを計測。実際の燃費への影響は調査中で、結果次第では軽を生産する水島製作所以外に影響が広がる可能性がある。

国交省、試験開始。結果を来月に公表


 国土交通省は三菱自動車の燃費不正問題で2日、埼玉県熊谷市の自動車試験場で、不正のあった軽自動車4車種の燃費・排ガス試験を始めた。道路運送車両法で規定された「惰行法」で測定した数値を基に実際の燃費を算定。6月中に試験結果を公表する。 三菱自の不正の全容解明に向け、国が自らデータを取り直して検証する。

 燃費・排ガス試験は自動車技術総合機構交通安全環境研究所(東京都調布市)の自動車試験場で、軽「eKワゴン」のうち最新の型式の車種から試験を始めた。今後eKワゴンと「eKスペース」について、2輪および4輪駆動の車両を試験する。 三菱自が日産自動車に供給している2車種は、三菱自の2車種と同型のため試験結果を適用できるとした。

 国が測定するのは、車両走行時のタイヤ抵抗と空気抵抗を示す「走行抵抗値」。走行中にギアをニュートラルにし、ハンドルとブレーキを操作せずに速度が時速10キロメートル減速する時間を測定する惰行法で算出する。通常はメーカーが惰行法で測定した走行抵抗値を基に、国が台上試験を行い燃費を算定する。

 三菱自は国内法規に定められていない、1秒間に速度が時速何キロメートル減速するかを測る「高速惰行法」で走行抵抗値を測定。さらに測定数値を燃費が良くなるよう操作して申請していた。審査官は今回の試験について「燃費の再検査はこれまでにないと思う」と話した。

日刊工業新聞2016年5月3日

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

さすがは日刊工業新聞と思わせる正確な記事だ。水島工場の社員の給与カットなどと不正確な報道をした他のメディアもあるが、飽くまでも休業補償。また、社員もさることながら、下請け、そして販売店への影響が深刻になっている。開発ばかりが花形で製造や品質管理部門が下に見られていたことや、人事ローテーションがないなど、三菱重工時代のカルチャーを引き継ぐ、不正の温床になる問題点は、既に2004年にファンドが指摘し、改善策も出していたが、その後銀行が主導する形で三菱重工業の関連会社になってしまったことで変われなかったのだ。

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