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鉄鋼大手2社は業績予想の公表見送る。数カ月先すら読めない・・

円高、中国の粗鋼生産が再び増加へ
 鉄鋼大手4社の2016年3月期連結決算が28日出そろい、全社が減収かつ営業・経常減益となった。年度を通じて内需の低迷が長引いた上、中国経済の急減速で夏場以降は輸出も振るわず、年明け以降の円高傾向が駄目を押した格好。新日鉄住金とJFEホールディングスは3期ぶり、日新製鋼は2期連続の経常減益。神戸製鋼所は経常赤字だった13年3月期以来の経常損益悪化となった。

 新日鉄住金では「上期から下期に向け、右肩下がりで落ちていった」(栄敏治副社長)と述べるように、メタルスプレッド(原料価格と販売価格の差)は年度の後半に進むにつれ縮小。結果的に大規模減産をした上半期より、10月以降の下半期の方が業績が落ち込んだ。原油安で高付加価値のシームレス鋼管が回復せず、ブラジルのウジミナスなど海外グループ会社の業績も振るわなかった。

 神鋼は主力の鉄鋼事業で、得意とする自動車向け鋼材が想定を下回った上、原料安による在庫評価影響差など一過性の損益悪化要因も重なり、電力販売を除く事業損益は経常赤字に転落した。中国経済失速が直撃した建設機械事業も年度後半で赤字額が膨らんだ。中国の事業で多額の貸倒引当金を特別損失に計上したことなどで、当期損益は3期ぶりに赤字転落した。

 日新は主力のステンレス事業が振るわず、事業損益は在庫評価影響を除く実質ベースでも赤字に転落。主原料のニッケル安が在庫評価損を膨らませ、見た目の損益をさらに悪化させた。加えて、有価証券評価損などを特別損失に計上したことで当期赤字に陥った。

 足元では海外市況が急回復し、輸出に改善の兆しも出てきている。だが、昨今の円高傾向に加え、中国の粗鋼生産や輸出量が再び増加に転じるなど、数カ月先ですら見通しづらい環境にある。このため、新日鉄住金とJFEが17年3月期予想の公表を見送った。
日刊工業新聞2016年4月29日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
う~ん、鉄鋼はほんとに厳しい。アジアの需要が回復する兆しが今のところなく、鉄鉱石価格の上昇も収益にはネガティブインパクトになる。

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