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「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(19)1機10億円のサービス

機内の過ごし方を変えよう!更生計画の認可前から検討していた「ワイファイ」
「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(19)1機10億円のサービス

ワイファイの設置には1機当たり2週間程度かかる

 日本航空(JAL)が推進する他社との差別化の一つが、機内でインターネットに接続できる無線LAN「Wi―Fi(ワイファイ)」サービスだ。JALは2012年7月から国際線で機内インターネットサービス「JAL SKY Wi―Fi(JALスカイワイファイ)」をスタート。当時ワイファイを導入している航空会社は少なく、他社に先駆けたスタートだった。

 地上では当たり前に接続できるワイファイだが、機内で同じ環境を実現するには、機体にアンテナを設置して赤道上の衛星と通信。これを切り替えながら運航する必要がある。JALは機体上部に穴を開けてワイファイのアンテナを設置。それに伴い配線なども変えた。JALエンジニアリング羽田航空機整備センター業務グループの中村昌一郎は「取り付け位置もミリ単位で微調整し、工事のやり方も慎重に検討を重ねた」と話す。

 ワイファイの整備は1機当たりの投資額が10億円程度、工期は約2週間。コストも高く、工事中は機材を駐機しなければならない。そこまでやって利益があるのか、部門別採算を進めているさなかでもあり、社内でも費用対効果を疑問視する議論が起きた。商品・サービス企画本部開発部客室サービスグループの江幡考彦は「ワイファイの導入は更生計画が認可される前から検討していて、今やる必要があるのかと言われた」と話す。

 JALが国際線でワイファイを始めた時点で、外国の航空会社を含めても機内インターネットサービスを提供しているのは2社程度しかなかった。江幡は「資金の問題もあったが、経営破たん前は他社の追随ばかりで、新しいことに挑戦してなかった。先進的なことをやる姿を見てもらう必要があったので、今でなければ意味がないと社内を説得した」と話す。

 JALは14年7月から国内線でもワイファイを導入。これも国内初で、国内線では無料動画なども提供している。顧客マーケティング本部商品サービス開発部企画グループの末崎裕介は「機内での過ごし方を変えるというのもコンセプトの一つ」と話す。選ばれる航空会社になるためのサービスはどこにあるか。JALの模索は続く。(敬称略)
日刊工業新聞2015年04月03日 建設・エネルギー・生活面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
飛行機では寝れない体質の自分は、特に長時間乗る国際線は退屈で仕方なかった。観たい映画もあまりなくて、重たいポータブルのDVDプレーヤーを持ち込んだこともある。世界の果てに行ってもケータイがつながる時代。空の上でも当然そうなるのだろうが、昔に比べ旅情というものを格段に感じなくなった。

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