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楽器輸送の丁寧な対応が評判に、口コミで分野拡大―越野運送

楽器輸送の丁寧な対応が評判に、口コミで分野拡大―越野運送

吹奏楽部や邦楽部などの楽器を輸送

 越野運送(大阪市都島区、越野泰弘社長、06・6921・4567)は、商品配送や機器輸送といった企業向けサービスに加え、楽器などイベント用資器材輸送も手がける。従来は吹奏楽部・楽団などからの依頼が中心だったが、低コストと丁寧な対応との評判が広まり、演劇用の大道具や美術部の展示品などと取り扱い分野が広がっている。リピーターと口コミによる紹介が好循環を生んでいる。

 楽器輸送は、2009年に大阪府茨木市の吹奏楽団の依頼を引き受けたのがきっかけ。そこから中学・高校の吹奏楽部に情報が伝わり、大阪府内を中心に関西各地の学校から依頼が来るようになった。学校の吹奏楽部は、コンクールなどの外部演奏時にはトラックをレンタルし、自身で積み込んで移動するのが一般的だった。

 越野運送はレンタカー予算と同程度で、精密機器輸送で培った積み込みや運び入れ作業の技術を生かして輸送。「学校や楽団の間で口コミによって社名が広まった」(越野社長)ことで、15年度は83件の吹奏楽器輸送を受けるまでになった。

 顧客満足度が高い理由は技術力だけではない。楽器は演奏者の思い入れが強く、取り扱いに敏感な反応を示す顧客が多いという。「代替の利かない1点ものを運んでいるという強い意識で作業するようにしている」(河野守忠営業部マネージャー)。顧客への共感も依頼者の心をつかむのに重要だ。

 吹奏楽コンクールの時期は多くの学校から依頼が集中するが、件数をこなす中でも、余裕を持った配車予定を組むようにしている。「楽器が到着するかどうかが心配になるといったムダなプレッシャーを生徒に感じさせてはいけない」(河野マネージャー)と、ギリギリでの輸送は避けるよう、生徒の心情に配慮するからだ。

 口コミは他の部活動にも広がってきた。軽音楽や邦楽、和太鼓などの音楽関連に加え、演劇や美術、さらに野球やアメリカンフットボールなどの体育会系へと活躍の場は徐々に拡大している。(大阪・安藤光恵)
日刊工業新聞2016年4月29日 モノづくり面
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
とあるコンクール前に楽器を乗せた車が行方不明になり、あわや出場取り消しになるところだった経験があります。また他校では車上荒らしに遭い多くの部員の楽器が盗まれるという事件もありました。楽器によって積み方、置き方に気を付けなければならないこともあるので、こういったサービスの運送会社は心強いです。

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