【GW企画】“ロボット”検索してみた#01 ウェブサーチからみるロボットと社会
一般の人がロボットへの関心を高めている。ドローン、ペッパーといったロボット関連の用語が広く認知されるようになり、今までは機械好きやロボットアニメファンのものと言えたロボットがより身近な存在になってきた。果たして、一般の人はロボットや人工知能(AI)の何が気になり、どのタイミングで検索しているのか。ヤフーの検索データからロボットの「今」を見る。
「ロビ」「ペッパー」のインパクト大
2012年以降で「ロボット」という言葉の検索が最も多かったのは2013年2月20日。この日はテレビの情報バラエティー番組で、デアゴスティーニ・ジャパンが発行する組み立てパーツ付きマガジン「週刊Robi(ロビ)」が取り上げられた。
ロビは「自宅でできる最新ロボット」の触れ込みで、全70号のパーツを組み立てるとコミュニケーション人型ロボットが完成する。完成には15万円もかかる、といった〝話題性〞も注目されたポイントだ。ロビ人気は本物で現在も再版を続けている。作るのが面倒な人はDMM.comのサイトから完成品を購入できる。
とにかく、ロビがヤフー検索の中では最もホットな話題になった。ヤフーのメディアカンパニーメディアビジネス部の池宮伸次さんは「身近なロボットの話題がソニー『AIBO(アイボ)』の販売中止から途絶えていた。その空白がロビで埋まったのでは」と検索での〝人気〞の理由を推測する。
ロビの話題以降は日々の検索件数も増加している。そして、2メートルの巨大ロボットが戦うテレビ番組「ロボット日本一決定戦!リアルロボットバトル」の放送後や当日の2013年12月14日、2014年12月2日は一気に検索が増えた。
さらにソフトバンクの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」には、発表時と一般発売の際に皆が興味を示している。ペッパーは「20万円以下で家庭にロボットが来る」というインパクトと圧倒的な広告戦略で、いまや人型ロボットの代名詞とも言える存在になった。ルンバが3年ぶりに新製品を発表した2014年2月初旬も検索が増えるなど、身の回りにあるロボットに動きがあると検索されるようだ。
ビジネス関係の検索では、隔年で開かれる世界最大規模のロボット見本市「国際ロボット展」(日本ロボット工業会など主催)の会期前後は検索も盛り上がる。2015年の開催時は、ロボットを自社でも活用したいという機運を受けてか2013年のロボット展時よりも検索数が増えた。展示会開催の前後は、新聞各紙でロボットの新技術、新製品の話題が多く出る。それが関心を高める一因のようだ。労働人口が減る中、ビジネスでもロボットを使って労働力不足を補おうという動きは確実にあると見受ける。
幅広い世代から興味を持たれる
「ロボット」の検索をした世代別割合では、40代以上の比率が高い。「若年層はロボットという広い概念でなく、ドローンやペッパーのようなもっと細かいタイプや製品名で検索するのでは」(池宮さん)とのことだ。幅広い世代にも関心を持たれていることは、ロボットへの興味が「本物」であることを示しているのではないかと感じる。
「ロボット」に続く第二検索ワードは「パシフィック・リム」などのロボットが登場する映画のテレビ放映を受けての「映画」や、年末年始に子供へのプレゼントで盛り上がる「おもちゃ」、ロビ関連のワードなど、ほぼ予想の範疇に収まった。
デアゴスティーニはどこまで“勝算”があったのか
ロボットという言葉がヤフーで一番検索されたきっかけとなったパートワーク(分冊百科)の「週刊Robi(ロビ)」。発行したデアゴスティーニはどこまで”勝算”があったのか。発行を担当したマーケティング部コンシューマロボティクスセンターの木村裕人マネージャーからコメントをもらった。
―ロビを企画、発行した経緯を教えてください。
ロビは当社のロボット組み立てシリーズで5タイトル目。それまではプログラミングまで自分でできるものや、外見もサーボが外に出ていて男性が好みそうながっちりしたフォルムのものが多かった。ロビはより一般の家庭で、家族の一員として暮らしてもらいたいという思いで発行した。
そのため、冊子2号目に付属したドライバー1本だけで大人と一緒の子供でも、女性でも組み立てられる手軽さを工夫した。見た目や会話、動きのかわいらしさも工夫している。ロボットファンの枠を超えた人たちに作ってもらえるよう、「フレンドリーロボット」にするための開発上の工夫もたくさんある。そうしたものを鑑みると、狙い通りと言える部分が多かったと思う。
―今後もロボットに関する商品を発売していくのでしょうか。
ロボットについて、今後のことはハッキリできないものの、考えてはいる。ロビのヒットを受け、コンシューマロボティックスセンターというロボット関連部署も新設した。ロビはホビーロボットの枠を超え、ロボットキャラクターのアイコン的存在に育てたいと考えている。ライセンス展開も強化し、パートナー企業と一緒に盛り上げていきたいと考えている。
―「ロボット」の検索数推移で最もインパクトのある事柄になったことについてどう思われますか。
ありがたく、うれしく受け止めている。週刊ロビは第3版まで版を重ね、日本で約12万体のロビが暮らしている。イタリアや台湾、英国、香港、中国本土など世界でも発売された。特に台湾では、2015年の雑誌売上額1位のヒット商品になった。今回の検索データでもロビが多くの人の興味を引いたと実感でき、大変感謝している。
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