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ナノシステムソリューションズ、沖縄で半導体向け精密金型を受託製造へ

台湾などアジアメーカーから受注目指す
ナノシステムソリューションズ、沖縄で半導体向け精密金型を受託製造へ

事業について説明する芳賀社長(右)

 ナノシステムソリューションズ(沖縄県うるま市、芳賀一実社長、098・921・1253)は27日、半導体メーカー向け精密金型の受託製造に参入すると発表した。ナノインプリント用フィルムや射出成形用金型などを作りアジアに出荷する。2017年5月期に金型事業の売上高2億―3億円を目指す。

 2億円を投じ本社にパイロットラインを設置。半導体製造装置メーカーとして持つマスクレス露光技術を金型加工に生かす。少量多品種の受注に対応し、半導体メーカーが内製化する場合に比べて半額ほどで受託するなど、価格面を訴求する。

 また半導体関連企業が多い台湾や中国に近く、航空物流網のハブである沖縄の立地を強みにする。すでにアジアのメーカーから引き合いがあるという。

芳賀社長「“ブルーオーシャン”でやっていける」


―事業の狙いは。
「当社の強みは露光する強度を変えることで、厚みのある素材を深さ方向に加工できる点。海外に競合メーカーもいるが、使い勝手を考えると(海外は)まだまだ。現状は当社しかできない。“ブルーオーシャン”でやっていける」

―装置製造事業と加工事業では違いがあるが。
「プロセスノウハウを積み上げる。17年以降、量産となれば近隣に設備を増設する。最終的に売上高は200億円規模を見込めると考えている」

―沖縄で事業を行う利点は。
「決定的なのは那覇空港の国際物流ハブ機能。(当社は)台湾のニーズが大きく、そこに近い沖縄には地の利がある。以前は顧客企業の近くに事務所を構えなくてはならなかったが、近年要求は緩和している。沖縄は夜間の出荷が可能で移動時間の面でも緊急対応が可能だ」

―一方で沖縄には人材確保の面など課題もあります。
「誰でもいいというわけではなく、人材を育てていくタイミングにもなっている」
日刊工業新聞2016年4月28日 中小企業・地域経済面に追記
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
最近、沖縄には半導体関連や精密部品を製造する企業の立地が相次いでいます。その一因として、年間を通して気温差が小さいため、クリーンルームの温度管理に対するエネルギーコストが抑えられることがあるようです。

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