三菱自不正、企業文化だけで片づけるのは正しくない

狂気に近い燃費目標値引上げの背景に何があったのか

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2014年2月に発売した新型軽自動車と益子社長(当時)
 「結果的に見てプレッシャーがかかっていた」。26日の会見で三菱自動車の中尾龍吾副社長はこう話した。同日国土交通省に報告した内容から、燃費の不正に手を染めた背景に激しい燃費競争があったことが浮き彫りになった。

 不正対象になった軽自動車「eKワゴン」の開発初期(2011年2月)の燃費目標は1リットル当たり26・4キロメートルだった。その後5回、目標が引き上げられ、13年2月の最終段階で29・2キロメートルとなり商品化した。

 走行データの不正操作が行われたのは、最後の修正で29・0キロメートルから29・2キロメートルに変えた時だった。ダイハツ工業が燃費29・0キロメートルの「ムーヴ」を発売した12年末に近い。開発陣はプレッシャーを受けて競合車を強く意識し、わずか0・2ポイントのために不正に手を染めたとみられる。

 中尾副社長は「経営陣は技術的な根拠があれば目標を達成できると考える。目標を達成を下げたいという提案も過去にある。ものが言えないと言うことはない」と経営陣の関与を否定したが、不正の代償は大きい。水島製作所(岡山県倉敷市)の軽生産は止まっており、サプライヤーにも影響が及ぶことが懸念されている。

 27日はサプライヤー向けの説明会を予定していたが「延期したのは全体を説明できる状況ではないから。個別訪問で聞き取りをして対応している」(相川哲郎社長)という。
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日刊工業新聞2016年4月27日「深層断面」から抜粋

COMMENT

中西孝樹
ナカニシ自動車産業リサーチ
代表

軽自動車の開発過程で、目標燃費値を5回に渡り引き上げた事実はこの不正の動機の大きな部分だろう。エネチャージ回生システムを搭載した、新型「ワゴンR」が登場し、28.8Kmの低燃費を叩き出した。その直後、ダイハツ「ムーブ」が29Kmの低燃費に達したのだ。「eKワゴン」「デイズ」の目標燃費は26.4Kmから始まり、2012年央には28Kmまで引き上げられていたが、この開発委最終段階でライバルを上回る29Km、最後は29.2Kmへ燃費目標を引き上げるたと推察される。何が、この狂気に近い目標引上げの背景にあったのか重要な真実であろう。企業文化だけで片づけることは正しくないと考えている。

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