グループ支援は考え難い。出資比率が下がると「三菱」の名前も使えない

三菱自の燃費不正問題。ガバナンスコード厳しく、非常に難しい局面に

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 三菱自動車の再建の行方は三菱グループの意思に委ねられている。三菱自は2000年以降、相次ぎ発覚したリコール隠しで経営危機に陥り、三菱重工業、三菱商事、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)が優先株を引き受け、三菱商事が社長を派遣。13年度に決めた優先株処理後でも、3社が後ろ盾になり、三菱グループ全体で経営再建を支えた。

 三菱商事出身の益子修会長兼CEOは、社長在任中、懸案の優先株問題に区切りを付け、欧州や豪州での生産打ち切りなど選択と集中を断行。米国生産撤退の道筋も付け、生え抜きの相川哲郎社長にバトンを渡し、成長軌道に乗せる矢先だった。

 業界では「(三菱グループ首脳親睦会の)金曜会で議論することになるのだろうが、三菱重工の判断が結論を大きく左右するのではないか」との臆測が流れる。

 25日に客船事業をめぐる特別損失計上でくしくも会見することになった三菱重工の宮永俊一社長は「(私は)三菱自動車の社外取締役でもあり、大変残念なこと」と強調。「第三者の方に協力頂いた上で、三菱グループのブランドや社会的責任、自社への業績への影響を考える必要がある」と説明した。

 ただ、機関投資家の行動を規定したスチュワードシップコード、上場企業に適用した企業統治指針(コーポレートガバナンスコード)が導入され、経営者の果たすべき説明責任の重要性が高まる中、コンプライアンス(法律順守)が徹底されていない企業への追加支援は投資家からの共感を得られない公算が大きい。金曜会がどのような結論を下すのか―。考える時間はそれほど多くない。
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日刊工業新聞2016年4月27日「深層断面」から抜粋

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

三菱3社(重工・商事・銀行)が05年に行なった増資による支援は、重工の関連会社にすることで与信格付けを上げたい銀行が強く主張して実現したものの、重工・商事は株主に説明出来ないとして極めて消極的だった。近年制定されたコーポレートガバナンス・コードでは合理性がない株式持ち合いは明確に否定されており、また、株主利益に叶わない出資をすれば、取締役は善管注意義務違反になる。よって、三菱グループによる支援は考え難い。一方、例えば新興国企業による救済などの場合、三菱グループの出資比率が低くなると、三菱商標委員会規定により、「三菱」自動車という名前は使えない。大変難しい局面を迎えつつある。

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