電力買うより太陽光発電の方が安い―「グリッドパリティー」とは?

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家庭用太陽光発電はグリッドパリティーに(メガソーラー)
 家庭用太陽光発電で1キロワット時の電力を作る発電コストが、電力会社の電力料金と同等となる「グリッドパリティー」に到達した可能性が高いとする試算を、自然エネルギー財団(東京都港区)の木村啓二上級研究員がまとめた。2010年に比べて太陽光発電システムの購入や設置、維持にかかるコストが40%近く下がったため。太陽光の普及が後押しされそうだ。

購入より太陽光の方が割安


 木村氏は14年7―9月に家庭用太陽光発電の発電コストが1キロワット時当たり26・29円となって電力料金の全国平均と並び、グリッドパリティーに達したと試算した。同10―12月には25・28円に下がり、初めて電力料金を下回った。

 東京電力管内は13年7―9月にグリッドパリティーに達した。中部電力管内は15年10―12月の太陽光が21―22円台と安いが、電力も値下がりしており同水準となっている。関西電力管内は同期間の太陽光が電力料金よりも4―5円安い。

 グリッドパリティーになると計算上は電力を購入するよりも、太陽光の電力を使う方が割安になる。

 だが、木村氏は「概念が難しく、参考指標にするべきだ」と慎重だ。また、発電した電力を売らずに自宅で使い切る完全自家消費が経済的と考えられがちだが、「完全自家消費には蓄電池が必要なので割高となる」と指摘する。その上で「現状では余剰電力を系統に送れば誰かが使ってくれるので、買い取り価格が適切なら必ずしも完全自家消費にこだわる必要はない」と話す。

 もちろんグリッドパリティーは家庭用太陽光発電システムのコスト低減を反映しており、より購入しやすくなったといえる。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は13年時点で23円と試算したが、グリッドパリティーは未達とした。

 日刊工業新聞は14年7月、グリッドパリティー到達との独自試算を掲載した。アラブ首長国連邦のアブダビに本部を置く国際再生可能エネルギー機関に掲載されたリポートによると、ドイツでは11年にグリッドパリティーに到達済みだと報告している。

グリッドパリティーの算出法


 発電コストは、20年間使われた場合の太陽光発電の総コストを総発電量で割って求めた。

 総コストは、経済産業省が再生可能エネルギーの買い取り価格などを決めるため設置している「調達価格等算定委員会」の公開数値、総発電量はNEDOの日射量データで計算し、出力が年率0・5%低下する条件も加えた。
 
 また「割引率」には10年国債新規発行流通利回り、住宅ローン利率を採用した。

 電力料金の全国平均は、家庭が契約する電灯料金収入を需要で割って、1キロワット時当たりの単価を算出。再エネによる電力の固定価格買い取り制度(FIT)で上乗せされている賦課金も含めた。
(文=松木喬)

日刊工業新聞2016年4月27日 建設・エネルギー・生活1面

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

木村さんは丁寧に計算し、グリッドパリティーを導き出しました。紙面では字数の制約があって詳しく書き込めませんでしたが、「さいたま」「横浜」といった都市別にも算出しています。計算した中では名古屋22円、浜松21円が最安。しかし中部電力が22円なので同等です。グリッドパリティー到達は太陽光産業が目標としていました。次は補助金に頼らない産業を目指してほしいです。

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グリッドパリティー

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