GWにおすすめ!企業博物館
大人も子どもも楽しく学べる
5月の大型連休(ゴールデンウイーク=GW)を前に行き先に悩む読者も多いだろう。お薦めは企業博物館だ。企業が磨き上げてきたモノづくりの技術や製品、起業家の足跡をたどり、科学技術の基礎を分かりやすく伝える。大人も子供も楽しく学べるよう展示や体験イベントに工夫を凝らしている。
【(1)所在地、問い合わせ電話番号(2)開館時間(3)入場料(4)休館日 】
◆トヨタ博物館/貴重な自動車とCMに郷愁
日本を代表するトヨタ自動車の高級車「クラウン」。今年はクラウン生誕60年の節目の年にあたる。トヨタ博物館では特別イベント「クラウン60周年記念展」を開催中だ。特設スペースには「初代トヨペットクラウン」をはじめ13台の歴代クラウンがズラリ。車両だけでなく当時の貴重なCM映像も見られ、郷愁をそそられる人も多いはずだ。
トヨタ博物館は“トヨタ”の冠がつくだけにトヨタ車の展示館というイメージが持たれがち。しかし館内にはトヨタ車に限らず自動車の歴史上、重要な国内外のクルマが約140台、常設展示されている。本館2階の欧米車展示ゾーンでは高級車「デューセンバーグモデルJ」(米国)などマニア垂涎(すいぜん)のクラシックカーが並ぶ。3階の日本車展示ゾーンでは日産自動車「ニッサンフェアレディZ432」、富士重工業「スバル360K111型」など多くの名車が見られる。
トヨタ博物館の特徴は「動態保存」。展示車は定期的に整備し、ほぼすべてが実際に走行できる状態にしてある。
(1)愛知県長久手市横道41の100、0561・63・5151(2)9時30分―17時(3)大人1000円、中高生600円、小学生400円(4)月曜日(GW無休)
◆三菱みなとみらい技術館/深海調査に挑戦しよう
三菱重工業が手がける最先端の科学技術・製品を展示し、学びながら遊べる参加体験型ミュージアム「三菱みなとみらい技術館」。GW期間中は無休で営業する。GWイベントとして5月6日まで館内スタンプラリーを実施するほか、2―4日の3日間は浮力や水圧などを学べる20分間の理科実験を開催。5、6日にの14時から特別上映会「生きもの だれが どこに?」を開く。
施設の見所は多い。3月1日にリニューアルした「海洋ゾーン」では深海潜水調査船「しんかい6500」の分解展示や深海調査に挑戦できるシミュレーターを導入したほか、タッチパネルで作ったオリジナル深海生物メカをワイドスクリーン上で泳がせられる。
「航空宇宙ゾーン」では国産初のリージョナルジェット機「MRJ」の実物大模型コックピットで操縦体験できる「MRJフライトチャレンジ」を用意。施設2階の体験プログラムゾーン「トライアルスクエア」ではタブレットで設計した自分だけの月面資源採掘船を設計するカスタム・ラボ(有料)も人気だ。
(1)横浜市西区みなとみらい3の3の1、三菱重工横浜ビル、045・200・7351(2)10―17時(3)大人500円、中・高生300円、小学生200円(4)火曜日(GW無休)。
◆鉄道博物館/鉄道の歴史を彩る車両
さいたま市大宮区にある鉄道博物館は、中央のヒストリーゾーンにEF55に代表される電気機関車やC57をはじめとした蒸気機関車、222形新幹線など、鉄道の歴史を彩るさまざまな車両が並ぶ。時期やテーマごとに実物の鉄道車両が36両展示され、中には皇族が乗車する御料車も6両含まれている。
鉄道博物館はJR東日本創立20周年の2007年に開館し、14年9月には入館者700万人を達成した。中でも、D51や205系山手線、200系新幹線などの運転を体験できる運転シミュレータは、開館以来、人気を博しており、休日は長蛇の列になることも多い。
GWは鉄道体験型イベント「目指せ!うきうき鉄道ライフ!」を開催する。時刻表の使い方の講座や、EF55の歴史や魅力について学芸員が解説するほか、模擬台車の分解や組み立て作業など、車両センターで行われている作業を紹介する。また企画展として、3月14日に開業した北陸新幹線と上野東京ラインの建設までの過程や開業後の展望を、資料や写真、模型などで紹介する。
(1)さいたま市大宮区大成町3の47、048・651・0088(2)10―18時(3)大人1000円、小中高生500円、幼児200円(4)火曜日、年末年始(GW無休)
◆カワサキワールド/陸海空の実機を展示
カワサキワールドは川崎重工業が設立110年を記念して2006年に開館した。造船業で創業し、総合重工メーカーへと成長した軌跡を貴重な写真とともに紹介し、0系新幹線や全長25メートルの大型輸送ヘリコプターなど陸海空の多彩な製品を実機で展示。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で神戸市内の観光名所208件中4位に選ばれている。
歴史コーナーでは会社設立とほぼ同時期に鉄道車両や製鉄、航空機、海運業などへ多角化した初代社長・松方幸次郎氏の大胆さに驚かされる。製品展示の目玉は見て触れて搭乗もできる新幹線などの大型展示。11年には大容量ニッケル水素電池搭載の低床電池駆動路面電車「SWIMO」実物大模型も加わった。
レース車を含めた歴代バイクが並ぶ「モーターサイクルギャラリー」も見応えがある。電気・油圧制御技術を用いたボードゲームやフライトシミュレーター、クイズコーナーなども多数あり、親子で楽しめる展示が充実している。5月23―24日にはミニ鉄道走行イベントを企画している。
(1)神戸市中央区波止場町2の2、078・327・5401(2)10―17時(3)大人600円、小中学生250円(4)月曜日、年末年始(GW無休)
◆松下幸之助歴史館/自らの姿勢振り返る
JR大阪駅から約30分。JRと京阪電車を乗り継いで西三荘駅を降りると、徒歩3分でパナソニックの「松下幸之助歴史館」に着く。同館はパナソニック(旧松下電器産業)と創業者・松下幸之助が歩んだ100年近くの歴史を創業、終戦、社長退任、会長・相談役という4期に分けて展示している。
展示を見れば幸之助が経営や企業の存在意義について、さまざまな言葉を残したことがわかる。従業員を「常に一商人たれ」と戒めたように、幸之助の言葉は適度に抽象化されており、新入社員から経営者まで企業に関わるあらゆる人にそれぞれの共感を呼ぶ。休日こそ、こうした言葉に触れて自らの仕事や経営に対する姿勢を振り返るのもいいかもしれない。
館内ではパナソニックが世に送り出してきたエポックメイキングな家電製品も多数見られる。それらの製品デザインの変遷を眺めるのも楽しい。6月30日までは「経営の基礎は人である」と題した特別展を開催中。幸之助が人を育てることについて考えたこと、残した言葉をまとめている。
(1)大阪府門真市大字門真1006、06・6906・0106(2)9―17時(6月30日まで平日は19時閉館)(3)無料(4)日祝日、年末年始(GWの開館は4月30日、5月2日、5日)
◆東芝未来科学館/“近未来”の生活体験
東芝未来科学館は「人と科学のふれあい」をテーマに、東芝の歴史や、近未来の生活や社会に根付く先端技術などを学び、体験できる。5月2―6日は特別企画「理科でドン!大運動会」を開催。科学とスポーツを融合し、体を使って楽しむ理科の実験を複数集めて“科学館ならではの運動会”を実施する。
競技は1メートル級の風船で作ったホバークラフトの飛距離を競う「巨大ホバークラフト」、自転車をこいで電気を発生する時間を競う「新発売?自転車発電TV」、色の違いを使った暗号を解読する「暗号を解いて色の秘密を探れ!」など、計9種目。それぞれの競技は動きに合わせて六つのゾーンに分かれており、自己記録を提示すれば記念品と交換できる。
6日にはラゾーナ川崎(川崎市幸区)で、不思議な羽根の飛行機を作る「フープコプター」と、アルミホイルと木片で作ったボールを転がして競う「アルミボールレース」の限定競技を行う。
開催されるイベントは予約不要で、参加無料。体と頭を使った、ひと味違うスポーツを体験できそうだ。
(1)川崎市幸区堀川町72の34、044・549・2200(2)平日10―18時、土日祝10―19時(GW特別企画は16時受け付け終了)(3)無料(4)月曜日(GW無休)
【(1)所在地、問い合わせ電話番号(2)開館時間(3)入場料(4)休館日 】
◆トヨタ博物館/貴重な自動車とCMに郷愁
日本を代表するトヨタ自動車の高級車「クラウン」。今年はクラウン生誕60年の節目の年にあたる。トヨタ博物館では特別イベント「クラウン60周年記念展」を開催中だ。特設スペースには「初代トヨペットクラウン」をはじめ13台の歴代クラウンがズラリ。車両だけでなく当時の貴重なCM映像も見られ、郷愁をそそられる人も多いはずだ。
トヨタ博物館は“トヨタ”の冠がつくだけにトヨタ車の展示館というイメージが持たれがち。しかし館内にはトヨタ車に限らず自動車の歴史上、重要な国内外のクルマが約140台、常設展示されている。本館2階の欧米車展示ゾーンでは高級車「デューセンバーグモデルJ」(米国)などマニア垂涎(すいぜん)のクラシックカーが並ぶ。3階の日本車展示ゾーンでは日産自動車「ニッサンフェアレディZ432」、富士重工業「スバル360K111型」など多くの名車が見られる。
トヨタ博物館の特徴は「動態保存」。展示車は定期的に整備し、ほぼすべてが実際に走行できる状態にしてある。
(1)愛知県長久手市横道41の100、0561・63・5151(2)9時30分―17時(3)大人1000円、中高生600円、小学生400円(4)月曜日(GW無休)
◆三菱みなとみらい技術館/深海調査に挑戦しよう
三菱重工業が手がける最先端の科学技術・製品を展示し、学びながら遊べる参加体験型ミュージアム「三菱みなとみらい技術館」。GW期間中は無休で営業する。GWイベントとして5月6日まで館内スタンプラリーを実施するほか、2―4日の3日間は浮力や水圧などを学べる20分間の理科実験を開催。5、6日にの14時から特別上映会「生きもの だれが どこに?」を開く。
施設の見所は多い。3月1日にリニューアルした「海洋ゾーン」では深海潜水調査船「しんかい6500」の分解展示や深海調査に挑戦できるシミュレーターを導入したほか、タッチパネルで作ったオリジナル深海生物メカをワイドスクリーン上で泳がせられる。
「航空宇宙ゾーン」では国産初のリージョナルジェット機「MRJ」の実物大模型コックピットで操縦体験できる「MRJフライトチャレンジ」を用意。施設2階の体験プログラムゾーン「トライアルスクエア」ではタブレットで設計した自分だけの月面資源採掘船を設計するカスタム・ラボ(有料)も人気だ。
(1)横浜市西区みなとみらい3の3の1、三菱重工横浜ビル、045・200・7351(2)10―17時(3)大人500円、中・高生300円、小学生200円(4)火曜日(GW無休)。
◆鉄道博物館/鉄道の歴史を彩る車両
さいたま市大宮区にある鉄道博物館は、中央のヒストリーゾーンにEF55に代表される電気機関車やC57をはじめとした蒸気機関車、222形新幹線など、鉄道の歴史を彩るさまざまな車両が並ぶ。時期やテーマごとに実物の鉄道車両が36両展示され、中には皇族が乗車する御料車も6両含まれている。
鉄道博物館はJR東日本創立20周年の2007年に開館し、14年9月には入館者700万人を達成した。中でも、D51や205系山手線、200系新幹線などの運転を体験できる運転シミュレータは、開館以来、人気を博しており、休日は長蛇の列になることも多い。
GWは鉄道体験型イベント「目指せ!うきうき鉄道ライフ!」を開催する。時刻表の使い方の講座や、EF55の歴史や魅力について学芸員が解説するほか、模擬台車の分解や組み立て作業など、車両センターで行われている作業を紹介する。また企画展として、3月14日に開業した北陸新幹線と上野東京ラインの建設までの過程や開業後の展望を、資料や写真、模型などで紹介する。
(1)さいたま市大宮区大成町3の47、048・651・0088(2)10―18時(3)大人1000円、小中高生500円、幼児200円(4)火曜日、年末年始(GW無休)
◆カワサキワールド/陸海空の実機を展示
カワサキワールドは川崎重工業が設立110年を記念して2006年に開館した。造船業で創業し、総合重工メーカーへと成長した軌跡を貴重な写真とともに紹介し、0系新幹線や全長25メートルの大型輸送ヘリコプターなど陸海空の多彩な製品を実機で展示。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で神戸市内の観光名所208件中4位に選ばれている。
歴史コーナーでは会社設立とほぼ同時期に鉄道車両や製鉄、航空機、海運業などへ多角化した初代社長・松方幸次郎氏の大胆さに驚かされる。製品展示の目玉は見て触れて搭乗もできる新幹線などの大型展示。11年には大容量ニッケル水素電池搭載の低床電池駆動路面電車「SWIMO」実物大模型も加わった。
レース車を含めた歴代バイクが並ぶ「モーターサイクルギャラリー」も見応えがある。電気・油圧制御技術を用いたボードゲームやフライトシミュレーター、クイズコーナーなども多数あり、親子で楽しめる展示が充実している。5月23―24日にはミニ鉄道走行イベントを企画している。
(1)神戸市中央区波止場町2の2、078・327・5401(2)10―17時(3)大人600円、小中学生250円(4)月曜日、年末年始(GW無休)
◆松下幸之助歴史館/自らの姿勢振り返る
JR大阪駅から約30分。JRと京阪電車を乗り継いで西三荘駅を降りると、徒歩3分でパナソニックの「松下幸之助歴史館」に着く。同館はパナソニック(旧松下電器産業)と創業者・松下幸之助が歩んだ100年近くの歴史を創業、終戦、社長退任、会長・相談役という4期に分けて展示している。
展示を見れば幸之助が経営や企業の存在意義について、さまざまな言葉を残したことがわかる。従業員を「常に一商人たれ」と戒めたように、幸之助の言葉は適度に抽象化されており、新入社員から経営者まで企業に関わるあらゆる人にそれぞれの共感を呼ぶ。休日こそ、こうした言葉に触れて自らの仕事や経営に対する姿勢を振り返るのもいいかもしれない。
館内ではパナソニックが世に送り出してきたエポックメイキングな家電製品も多数見られる。それらの製品デザインの変遷を眺めるのも楽しい。6月30日までは「経営の基礎は人である」と題した特別展を開催中。幸之助が人を育てることについて考えたこと、残した言葉をまとめている。
(1)大阪府門真市大字門真1006、06・6906・0106(2)9―17時(6月30日まで平日は19時閉館)(3)無料(4)日祝日、年末年始(GWの開館は4月30日、5月2日、5日)
◆東芝未来科学館/“近未来”の生活体験
東芝未来科学館は「人と科学のふれあい」をテーマに、東芝の歴史や、近未来の生活や社会に根付く先端技術などを学び、体験できる。5月2―6日は特別企画「理科でドン!大運動会」を開催。科学とスポーツを融合し、体を使って楽しむ理科の実験を複数集めて“科学館ならではの運動会”を実施する。
競技は1メートル級の風船で作ったホバークラフトの飛距離を競う「巨大ホバークラフト」、自転車をこいで電気を発生する時間を競う「新発売?自転車発電TV」、色の違いを使った暗号を解読する「暗号を解いて色の秘密を探れ!」など、計9種目。それぞれの競技は動きに合わせて六つのゾーンに分かれており、自己記録を提示すれば記念品と交換できる。
6日にはラゾーナ川崎(川崎市幸区)で、不思議な羽根の飛行機を作る「フープコプター」と、アルミホイルと木片で作ったボールを転がして競う「アルミボールレース」の限定競技を行う。
開催されるイベントは予約不要で、参加無料。体と頭を使った、ひと味違うスポーツを体験できそうだ。
(1)川崎市幸区堀川町72の34、044・549・2200(2)平日10―18時、土日祝10―19時(GW特別企画は16時受け付け終了)(3)無料(4)月曜日(GW無休)
日刊工業新聞 2015年04月29日 最終面GW特集