IoTとロボのまちづくり。北九州市の成長戦略が次のステージへ

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安川電機などが開発した前腕向けリハビリ装置
 北九州市が再生を賭して策定した「北九州市新成長戦略」が第2ステージに入った。2013年度からの3年計画だったものを、20年度までの5年計画に大幅に改訂した。政令指定都市とはいえ人口減少や産業衰退に苦しむ同市の取り組みには、地方創生に悩む他の中核市などが学ぶべき点がある。
「新たな技術と豊かな生活を創り出すアジアの先端産業都市」を目標に掲げた改訂版の最大の特徴は、新規雇用創出を旧計画の倍の2万人に設定したことだ。同時に、これを実現する施策を加えている。

 目を引くのは「インダストリー4・0」はじめモノのインターネット(IoT)に関する対応強化と、産業・介護用などロボット導入支援による市場拡大。同市は官営八幡製鉄所(現新日鉄住金)とともに発展してきただけに、鉄鋼関連の中堅・中小企業が多い。しかし国内需要の低迷もあって各社の業績は伸び悩み、新産業へのシフトが模索されている。

 中でも期待されているのがロボット分野だ。同市は国家戦略特区「北九州市スマートシティ創造特区」の認定を受けており、介護現場でのロボット活用に取り組んでいる。市内には産業用ロボット大手の安川電機が本社を構えるほか、北九州学術研究都市(若松区)に導入を支援する「産業用ロボット導入支援センター」を設置するなど、人材育成を含めたインフラが整っている。

 少子・高齢化が急速に進むわが国にとって、地方都市の最大の課題は若年者の定住と雇用確保である。これを実現するには企業の誘致だけでなく、地場企業育成や新産業創出が必要。自治体がどれだけ本気に取り組んだかによって、いずれ都市間格差が生じよう。

 北九州市の新成長戦略は、全国の地方都市が抱える少子高齢化や女性の社会進出、中小企業振興、農林水産業のビジネス化など諸問題に目配りしたもの。福岡県や周辺自治体と連携することでロボットや企業集積などの強みを発揮できれば、成功率も高まるだろう。

日刊工業新聞2016年4月26日 総合4面「社説」

COMMENT

三苫能徳
西部支社
記者

ロボット活用と雇用増大が直接結びつくわけではないだろうが、両方実現できればすごい。「介護2・0」みたいなモデルをつくってほしい。

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