ニュースイッチ

東日本大震災の教訓生かす会議所・商工会青年部 行政の手及ばない被災地で迅速対応 

東日本大震災の教訓生かす会議所・商工会青年部 行政の手及ばない被災地で迅速対応 

12年に日本商工会議所青年部、全国商工会青年部連合会、全国中小企業青年中央会と日本青年会議所の友好4団体で”協力協定“を締結

 「できることはすぐやろう!」。九州の商工会議所青年部と商工会青年部が連絡協議会を立ち上げて連携し、熊本地震被災地の支援に乗り出している。動きだしたのは地震発生当日から。翌15日には炊き出しなどの活動に入っている。当面は「自治体などの活動に協力するとともに、自治体、自衛隊などの活動が及ばない地域の支援活動に全力を挙げたい」(古賀紳也日本商工会議所青年部九州ブロック代表理事)と話す。

 商工会議所は商工会議所法に基づき設立され、活動エリアを市レベルとしている。これに対し、商工会は商工会法に基づいてつくられ町村部を活動エリアとしている。

 原則的な活動エリアは異なるが、東日本大震災の後、2012年に日本商工会議所青年部、全国商工会青年部連合会、全国中小企業青年中央会および日本青年会議所の友好4団体で”協力協定“を締結したこともあり、今回、直ちに地元組織などを通じ活動を開始した。

 被災は商工会地区の益城町が最も大きいが、商工会議所地区の熊本市内も激しいものがある。青年部員の活動の特徴は行政が動く前の迅速な対応と、行政の手の届かない地域への支援。木野祐樹熊本県商工会青年部連合会会長(全国商工会青年部連合会副会長)は「互いの活動がダブらないよう会長、副会長で手分けし、LINEで連絡を取り合っている」と話す。

 商工会議所青年部は16日には子どもの多い避難所への粉ミルクの配送、17日には自衛隊の支援がない地区への物資搬送などを実施した。また19日には温かいものを食べたいとの要望を受けカップ麺3000個、水2000リットルなどを届けている。

 地元商工会青年部でも連日の支援活動で物資不足が表面化しつつあることから、支援の輪を熊本から、九州ブロック、さらに全国へと広げている。
日刊工業新聞2016年4月25日 中小企業・地域経済面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
震災対応といえば、国や地方自治体に注目が集まりますが、全国にある商工会議所や商工会の青年部が連携し、活動していることはあまり知られていません。行政と連携をとりながら、支援が行き届かない地域で活動することは重要だと感じます。

編集部のおすすめ