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三菱自動車、日産と補償協議。あすにも国交省へ報告

三菱自動車、日産と補償協議。あすにも国交省へ報告

三菱自動車の相川社長(20日の会見)

 三菱自動車は燃費試験データの不正操作問題で、軽自動車を供給する日産自動車と補償について協議を始めた。不正対象車の購入者への補償などについて協議しているとみられる。また国土交通省から27日までに求められている不正問題の詳細に関する報告では、26日にも報告し、同省の同意を得てから会見する見通しであることが分かった。

 試験データを不正操作していたのは軽「eKワゴン」や日産に供給する軽「デイズ」など計4車種62万5000台。三菱自は20日、対象車の生産や販売を停止し、日産も販売を停止した。三菱自の相川哲郎社長は補償について「両社の役員同士が協議している」と明らかにした。日産の幹部は購入者への燃料代などの補償費用や、エコカー減税の基準を満たしていなかった場合に支払う減税分を負担後、「三菱自に請求することになる」との見通しを示した。

日産で高まる不満。協業見直し


 三菱自動車の燃費不正問題で、不正の対象になった軽自動車を巡って協業相手の日産自動車では不満が高まっている。日産の軽事業の見直しは必須で、かねて日産内で検討されていた軽の自社生産が現実味を帯びてきた。

 三菱自幹部は「今は関係をどうこうするという話を日産としていない」とし、日産幹部も「まずは顧客対応が最優先だ」と話し、協業見直しの段階ではないとの考えを示す。

 一方で日産側では不満が高まっているのも事実。ある幹部は今回の不正を「信じられない。うちの業績にも影響は避けられないだろう」と不信感を隠さない。「展示車や告知物など不正対象車のすべてを顧客の目の触れないところに回収した。事業に大きな影響が出そうだ」(関東圏の日産系販売会社幹部)との声も漏れる。

 日産と三菱自の間にあった「軽の生産は水島製作所で行う」という取り決めが、日産が軽自社生産に乗り出す際の足かせになっていた節がある。今回の不正問題で協業が見直されれば、自社生産に踏み切りやすい環境になるのは間違いなさそうだ。

 現に日産幹部はこうつぶやく。「(軽の自社生産に)一歩近づきそうだ」。だが軽は税優遇が見直されつつあり競争も激しく、慎重に判断するものとみられる。
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日刊工業新聞2016年4月25日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
三菱自動車の相川社長は違法な試験を2002年から実施していたことを認め、「02年より前についても調べている」としている。

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