三菱自動車の不正問題、サプライヤーに動揺と大きな影響

<追記あり>地震とダブルパンチ。ディーラーも困惑隠せず

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三菱自動車本社
 三菱自動車の燃費不正操作問題により生産・販売停止の対象となった軽自動車のサプライヤーやディーラーの間で動揺が広がっている。特に軽自動車が生産の大半を占める水島製作所(岡山県倉敷市)に主要部品を納める地場企業が受けるマイナスの影響は大きい。熊本地震の影響で生産ラインを止めているメーカーもあり、問題が長期化すれば経営面への打撃は計り知れない。

 「昨日、インターネットやテレビで初めて知り本当に驚いた。問題が長引いてしまうのは困る。早急に善処に解決してもらいたい」。水島製作所(岡山県倉敷市)のサプライヤーの団体「協同組合ウイングバレイ」に加盟する企業の担当者はため息をついてこう打ち明ける。

 この企業は熊本地震の影響で水島製作所が軽自動車のラインを停止したことを受け、19日から部品の生産ラインを止めた。そんな中で今回の問題が発生。「地震の影響と合わせてまさにダブルパンチを受けた格好だ」(担当者)。現時点で再稼働のめどはたっていない。

 曙ブレーキ工業の生産子会社である曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)は水島製作所にドラムブレーキを納めており「三菱自との取引量がどの程度か現在調査中」(曙ブレーキの広報担当)と、対応に追われている。

 部品メーカー以外の地場企業にも動揺は広がっている。水島製作所に生産設備を納める、ある中小メーカーの担当者は「部品メーカーと異なり、現時点で工場の稼働を止めるといったことはしていないが、中長期では仕事に影響が出てくると思う。かなり懸念している」と動向を注視している。

 一方、三菱自動車製の自動車販売を支えているディーラーも困惑の色を隠せない。都内の系列店舗は「最近、軽自動車の展示はしていない」(系列店舗店員)とし、陳列変更といった措置は特段とらず通常通り営業している。

 不正問題については「ただただ、驚いている。今後どんな影響が出るのか見守る以外にできることがない」(同)。ほかの系列店舗の店員も「昨日、今日のことなので、まだ何も対応できない」とし、不安をのぞかせていた。

 三菱自が出した軽自動車の燃費不正は、サプライヤーやディーラーに大きな衝撃を与えたが、それ以上に顧客離れが懸念される。経営悪化は避けられない。最悪の事態を招く前に、再発防止、信頼回復への道筋を早急につける必要がある。

ファシリテーターの見方


 三菱自動車の行為は許されないことは大前提として、背景には「激しい低燃費競争への焦り」という声もあるが、やはり日本国内に自動車メーカーの数が多すぎるという問題がある。各社ともグローバルで商売しているとはいえ、内需が低迷し、特に今回の対象が国内販売の主力である「軽」だけということならばなおさらだ。
(日刊工業新聞社ニュースイッチ担当部長・明豊)

日刊工業新聞2016年4月22日

COMMENT

安東泰志
ニューホライズンキャピタル
会長

04~05年に再生ファンドが率いて組成されたCFT(部門の壁を超えたタスクフォース)では、社員100人が参加し、社内風土改革を行なったほか、購買と製造の壁も取り払い、サプライヤーさんをしっかり巻き込んだ開発も進めた。しかし、ファンドが去った後、銀行主導で三菱重工の持分法適用会社に戻した。あの時の風土改革が忘れられてしまうと、全国の取引先はもちろん、世界に数百万人いるユーザーに対して過ちを繰り返すことにならないか。

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