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日本原電、米社の廃炉技術導入

原発再稼働を視野に入れた時、むしろ遅すぎた感があり
 日本原子力発電(東京都千代田区、村松衛社長、03・6371・7400)は20日、原子力発電所の廃止措置で米国の廃炉専業大手、エナジーソリューションズ(ES、ソルトレークシティー)の技術・ノウハウを導入すると発表した。ESの知見を生かし、敦賀原発1号機(福井県敦賀市)の廃炉作業を効率化する。今後、老朽化した原発の廃止措置が国内で本格化するのをにらみ、廃炉支援ビジネスの共同展開に向けた協議も進める。

 ESは放射性廃棄物の処理・処分など原発の廃炉作業を低コストで効率的に進める技術・ノウハウを持つ。福島第一原発の汚染水を処理する多核種除去設備「ALPS」にもESの技術が応用されている。敦賀原発1号機の廃炉作業に、これらの知見を生かす。
日刊工業新聞2016年4月21日
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
原発はCO2を排出しないので地球温暖化対策上、そしてエネルギーセキュリティ上、必要なベースロード電源である。政府は昨年夏に2030年の電源構成に関して原発比率を20~22%にするとした。2030年に向けて国内で原発を維持するためには、最新の安全設計を織り込んだ新型炉を導入する必要があるが、それ以前に旧式の炉をスクラップしなければならない。ここに廃炉支援ビジネスが日本の原発維持政策上、重要な機能を受持つことになる。今回の日本原電による米社の廃炉技術導入は、今後の原発再稼働を視野に入れたとき、廃炉支援ビジネスの共同展開を考えれば、当然の経営戦略だろう。むしろ遅すぎた感がある。

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