「黒潮の大蛇行」が東海地方に豪雨・猛暑をもたらす
東北大がメカニズム分析
東北大学の杉本周作准教授は、黒潮の大蛇行が東海地方に豪雨や猛暑をもたらすことを明らかにした。台風や2020年豪雨などの降水量にも黒潮大蛇行が影響を与えていたことを初めて示した。黒潮大蛇行により海から東海地方に大量の水蒸気が供給され、温室効果で暑くなり、降水量も増える。大蛇行が続くことで今後も東海地方太平洋側で豪雨災害リスクが高まると考えられる。黒潮の動向を監視し、防災対策を強化する必要がある。
高解像度の気候シミュレーションで黒潮大蛇行が日本の夏季気候に与える影響を分析し、東海地方から関東地方にかけて降水量が約1・3倍に増加していることを発見。これは、蛇行に伴う沿岸の水温上昇で蒸発が活発化し、この水蒸気が夏の南風で日本に流れ込んで大気が不安定化した結果と示された。また、増えた水蒸気の温室効果により東海地方の気温が約1度C上昇することも分かった。
温暖化が進行した場合の今世紀末に予想される5度Cの水温上昇を想定したシミュレーションでは、東海地方から関東地方にかけ降水量が約1・5倍に増加し、気温も東海地方で約1・6度C、関東地方で約1度C上昇すると示された。
黒潮は2017年夏に大蛇行流路へ移り、現在も蛇行を継続している。東海・関東沖では大蛇行期間中のほとんどで海洋熱波が発生している。
日刊工業新聞 2025年01月07日