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トップリーグ三冠王が語るラグビー日本代表が強くなった理由

エディー・ジャパンの副将、五郎丸歩「欧州遠征で日本の歴史を変えた」
トップリーグ三冠王が語るラグビー日本代表が強くなった理由

「ラグビーは自己犠牲の精神をもって取り組むスポーツ。仲間が危ないと思ったらサポートに駆けつける。仲間に助けられた人は、今度はサポートしてくれた人を助ける。そういったところは会社においても生きてくると思う」と語る五郎丸選手

 ―ラグビー日本代表が強くなった要因は。
 「単純に練習量が増えた。代表の合宿では朝5時からウエートトレーニングを開始し、基本的に1日3、4部制で練習する。今回もしっかり練習し、量だけでなく、自分たちの足りないところをしっかり把握した上で、強化に取り組んだ。こうした積み重ねが結果につながっている」

 ―ニュージーランド代表(通称オールブラックス)など、世界トップレベルのチームと対戦し手応えを感じたとか。
 「(ラグビー日本代表の)エディー・ジャパンが発足する前は、オールブラックスと試合を組まれた時点で、互角に戦うのはムリだというメンタリティーだった。今はそうではない。そのきっかけとなったのが2年前の欧州遠征で、グルジアとルーマニアに勝ったことだ。それまでは欧州遠征で日本代表がテストマッチ(ナショナルチーム同士の試合)に勝ったことはなかった。日本の歴史を大きく変えたということで、自信になった」

 ―試合で失敗した時はどう受け止めますか。
 「失敗に至った過程を自分で分かっていれば、どこがいけなかったのかを修正すればよいだけの話なので、落ち込むことはない。それよりも事前にいかに準備をし、課題を明確にして取り組んできたかが大切だと思う」

 ―あるべきリーダーの姿は。
 「いろいろなタイプのリーダーがいてよいと思う。ただ、日本人の指導者はなかなか相手を褒めることに慣れていない。自分自身は(日本代表の)エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチにプレーを褒められて、すごくうれしかったことがある。良いことは良い、ダメなことはダメだとはっきり伝える。相手の人格を尊重し、人として接することが大切だ」

 ―集団競技であるラグビーは、会社などの組織運営に通ずるところがあります。
 「ラグビーは自己犠牲の精神をもって取り組むスポーツ。仲間が危ないと思ったらサポートに駆けつける。仲間に助けられた人は、今度は(以前に)サポートしてくれた人を助ける。そういったところは会社においても生きてくると思う」
(聞き手=宮里秀司)

 【著者プロフィール】五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)
 2008年早大スポーツ科学部卒、同年ヤマハ発動機ジュビロ入団。2011、2012年度ラグビートップリーグ得点王。12年日本代表副主将に就任。福岡県出身。

『不動の魂 桜の15番 ラグビーと歩む』(実業之日本社刊)
日刊工業新聞2014年12月01日 books面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
インタビュー掲載は2014年12月。五郎丸選手が所属するヤマハ発動機ジュビロがその後、ジャパンラグビートップリーグのプレーオフトーナメント準優勝、日本選手権優勝と躍進を遂げたのは記憶に新しいところです。

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