電気代20%減…オーダーメード「省エネ断熱カバー」に見る豊山インダストリーの技
豊山インダストリー(愛知県豊山町、夏山繁浩社長)は、オーダーメードで製作する産業機械・設備に装着する断熱材「省エネ断熱カバー」の顧客開拓に力を入れている。夏山社長の前職は、機械工具商社の営業担当。数多くの生産現場を見てきた経験を生かし、手がけている省エネ断熱カバーは機械・設備にジャストフィットするまで丹念に作り込む。きめ細かな仕事ぶりが評価を得て、顧客はモノづくりの幅広い業界に広がる。
同カバーは表面が高難燃性のシリカクロス製シート、中身が耐熱性のあるガラスウールを固めた素材を使用。発熱部を覆うように取り付けると、機械からの放熱温度が約5分の1まで下がり、電気代は約20%削減が可能という。冬場は機械・装置を保温する役目をし、設定温度まで上昇する時間が短縮することで省エネルギー、二酸化炭素(CO2)削減につながる。
機械・装置の形状はさまざまとあって、夏山社長は顧客の生産現場に出向き、機械の採寸から設計、製作、取り付けまでの一貫受注を特徴としている。製作上、最も気を配るのは素材の裁断。「省エネ効果を発揮するためには、発熱部に密着して取り付ける必要がある」(夏山社長)ため、ズレや隙間が生じないように考慮する。また、機械・装置への影響を心配する声には、各種データを示すなど丁寧に説明している。
機械工具商社時代は射出成形業界を主に担当し、断熱材を取り扱っていた経験を持つ。2022年の創業後も、夏山社長に対して、断熱材について問い合わせが寄せられるようになり、以前から構想を描いていたオーダーメードでの受注を実践することにした。
発売当初は工場内の熱中症対策として提案していたが、電気料金が高騰している現在は、電気代の負担を軽減する省エネ断熱材として拡販に力を入れている。射出成形機向けで培った知見を生かし、食品や鉄鋼、半導体など幅広い業界で採用を見込んでいる。
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