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パックご飯の「マザー工場」、ロボットで省人化…アイリスオーヤマが生かす長年の知見

パックご飯の「マザー工場」、ロボットで省人化…アイリスオーヤマが生かす長年の知見

ロボットがパックご飯の入った段ボール箱をパレットに積み上げる

食品事業の売上高を2030年に1000億円規模に高める目標を掲げるアイリスオーヤマ(仙台市青葉区、大山晃弘社長)。その柱の一つとなるのがパックご飯だ。

パックご飯の需要は右肩上がりで推移している。「マザー工場」の位置付けとなるのが角田工場(宮城県角田市)。パックご飯への参入は15年。17年に同工場で自社生産をスタートした。現在、同工場には計5ラインが構築されている。

これまで同工場がパックご飯の生産を担ってきたが、24年夏に鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)で1ラインが稼働し、2拠点体制となった。両工場で計6ライン・日産120万食の生産能力を持つ。今後は25年に鳥栖工場で新たに1ラインが稼働予定のほか、同年に完成予定の岡山瀬戸内工場(岡山県瀬戸内市)でもパックご飯の生産を計画している。

角田工場はパックご飯におけるマザー工場として、作業ロボット導入などによる省人化を推進してきた。鈴木徹也角田工場長は「これまで蓄積したノウハウや知見を横展開している」と強調する。1号ラインの稼働時は「手探りのところもあり、かなりの作業者が生産に携わっていた」(鈴木工場長)という。現在1ライン当たり資材補充などのため4人程度が担当。ほぼ人を介さない衛生面にも寄与した生産ラインが構築された。

クリーンルーム内で低温精米されたコメを炊飯・包装まで自動で行い、パレットにパックご飯を入れた段ボール箱を作業ロボットが積んで、工場内の倉庫まで自動で運ばれる。角田工場では23年に4号と5号ラインが稼働した。新ラインの導入では機械を動かす駆動部分の機構について常に見直しを図ってきた。鈴木工場長は「安定した生産が一番。そのため各工程で新たな知見を導入してきた」とし、日々の創意工夫を積み重ねている。

アイリスでは各事業分野で自動化など生産ライン構築に携わる社内部署が活躍する。パックご飯の生産は新規事業になるが、長年の知見を課題解決につなげている。

日刊工業新聞 2024年12月24日

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