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レベル4「自動運転EVバス」運行へ…大阪メトロが構築狙う〝万博のレガシー〟

レベル4「自動運転EVバス」運行へ…大阪メトロが構築狙う〝万博のレガシー〟

自動運転を実証実験するEVバス

大阪メトロはバスの電気自動車(EV)化を進めるとともに、自動運転の社会実装を目指した実証試験を進めている。2025年大阪・関西万博開幕までに174台のEVバスを導入、万博会場内外での輸送に用いるとともに、路線バスのEVを拡充する。35年度をめどに500台を超える路線バス全車両をEV化する。自動運転は一定条件下で無人走行できるレベル4での社会実装を目指す。

大阪メトロと関西電力のほか、ダイヘン、大林組、東日本高速道路と共同で新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業に採択され、EVバスの円滑な運行と効率的な充電の両立を図る。運行計画の作成や管理、車両手配などを行う運行管理システム(FMS)を開発し、車両への充電を制御するエネルギー管理システム(EMS)と連動させ、エネルギー効率化する。「充電時の電力使用量のピークを抑えて電気の基本料金をできるだけ低くする」(柿本恭志モビリティ技術開発部長)のが狙いだ。

路線バスは昼間に稼働する車両が多い。走行中給電システムを導入し、EMSとの連携で充電可能な経路情報を得る機能を持たせる。

EVバスで自動運転の実証実験をする運転士

万博後も万博での実証を基に改良して高性能化し、2年間程度大阪市内の公道で実証する。数百台規模の実験で効率運用するシステムを確立できれば販売を検討する。各営業所などに設ける充電や受変電設備のコスト低減が実用化への課題だ。

自動運転も万博の会場内外輸送で実証する計画。さらに万博閉幕直後から大阪府南部の南河内地域で乗客がいるケースも含めて3年間程度実証実験する。民間バス事業者が路線廃止した地域などでレベル4での実証を目指し、「万博のレガシーとして公共交通の確保を図る」(柿本部長)。実用化では無人運転時の車いす利用者などへの対応が課題だが「30年度までの社会実装を目指す」(河井英明社長)と意気込む。

EVと自動運転で脱炭素化と運転士不足に対応、持続可能なサービス確立を目指す。

日刊工業新聞 2024年12月24日

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