「人の仕事をより創造的なものに」…全世界で生成AI駆使、デンソーが体制を構築する狙い
デンソーは2030年までに全世界の社員が生成人工知能(AI)を自在に活用する状態を構築する。日本国内では製造現場や研究・開発、事務・管理などの分野で生成AIの利用を始めた。現状は国内約3万4000人が活用しており、5年程度でグローバルで働く約16万人に拡大する。従業員が手がける仕事の品質やスピードを生成AIが支援し、捻出した時間を社員の自主的な成長や働きがいの向上に充てる狙いがある。
日刊工業新聞などのインタビューで林新之助社長が明らかにした。林社長は「人の重要性が今後ますます高まる」とした上で、生成AIの導入を社内で拡大し「人の仕事をより創造的なものにシフトする」と方向性を示した。
事務管理業務については、社内情報の検索や文書の作成を生成AIが担う。製品開発の分野では生成AIの導入で開発期間を短縮するだけでなく、製品自体にもAIを組み込み競争力を高める。生産現場でも人とAIが緻密に連携し、高度なモノづくりができる環境を整備する。
デンソーでは社内にあるデータをつなぎ合わせ、個人のノウハウや知恵を全社や組織全体で有効活用できるようなデジタル基盤を整備する。社員のAI活用を促すため、生成AIに関する教育を実施するほか、必要な知識や文書をパッケージ化した「ソフトウエア開発キット(SDK)」なども用意する。社内で取りまとめた全社の膨大なデータを効率良く生かす。
林社長は「例えば、成果物のスピードを上げることは顧客にとってうれしいこと。生成AIで捻出した時間は(エネルギーや食農といった)新価値領域などにも振り向けられる」と期待を込める。
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日刊工業新聞 2024年12月24日