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復旧じわり、トヨタが生産再開へ。ルネサス熊本も22日から

復旧じわり、トヨタが生産再開へ。ルネサス熊本も22日から

トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)

 熊本地震の影響で生産を停止した自動車や半導体の工場の生産再開状況が明らかになってきた。トヨタ自動車は国内車両組立工場を25―28日にかけて段階的に再開する。ルネサスエレクトロニクスも22日から熊本市の生産子会社で再開を予定している。全面的な再開ではないが復旧は少しずつ進む。

 地震で被災して生産停止したアイシン精機子会社のアイシン九州(熊本市南区)は、トヨタなどへの部品供給責任を果たすため、国内外で代替生産を始めた。

 生産停止の大きな原因はドアの開閉を制御する部品「ドアチェック」。アイシン九州は月間90万本生産する。トヨタの場合、停止した全26ラインにアイシン九州製ドアチェックが使われていた。

 アイシン精機はドアチェックをメキシコ工場から輸入し始めた。九州内の他社工場にも代替生産を要請。愛知県内の自社工場でも生産を検討し、グループのシロキ工業にも代替生産を依頼した。

 アイシンからの部品供給に一部めどがたったことから、トヨタは元町工場(愛知県豊田市)を除くトヨタ本体の愛知県内3工場や、トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)などグループの工場を25―28日に稼働再開する。

 ただ完全には部品の供給体制が戻らず、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)など一部工場は停止を継続する。ダイハツ工業三菱自動車も生産再開の延期を決めた。

 ルネサス子会社のルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング川尻工場(熊本市南区)も22日に生産再開予定。ただ一部装置が破損しており、今後、正常稼働開始の時期を慎重に検討する。一方、同社の製造委託先の一部企業において被害が拡大。このためルネサスの別の工場で生産したり、別の委託先を探したりする検討を始めた。

中小は復旧へ団結。設備・製品を生かし合う


 14日夜に発生した熊本地震から1週間―。終わる気配をみせない余震の中、震災からの復旧が熊本県で続いている。各社が復旧に全力を挙げる中、中小企業間では、業界や企業をまたいだ連携が生まれつつある。

 ロボットによる生産設備の設計、組み立てを手がけるテラシステム(熊本県大津町)は、工場のクレーンなどに被害があった。18日から出荷直前の製品をつきあいがある企業や納入先に運び、組み立てている。

 運び先のひとつは福岡県大牟田市の電子部品メーカーの倉庫。別の製品は取引先の大手電機メーカーや自動車メーカーに半製品で納め、社員が現地に行って仕上げている。国分清専務は「余震が続いている。取引先の不安を拭い去る必要がある。安全な環境で納期を守る」と強調する。

 熊本県溶接協会は4月16、17、23日に熊本市内で予定していた溶接技能者評価試験を、23日の開催に延期した。対象は6月に溶接技能者の有効期限が切れる約35人。会長を務める博陽工業(熊本市北区)の角毅四郎社長は「4月中に試験が受けられずに無資格になるのを防ぐ」と延期を決めた。

 被災地内で相互に助け合う動きも活発になってきた。熊本県工業連合会の生産連携グループ(Gamadas)は会員企業を対象に、物資援助の協力を近く始める予定だ。(熊本)
日刊工業新聞2016年4月21日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
これ以上大きな余震がなければ復旧のペースが上がるはず。自動車メーカーの対応力は早い。三菱自工の問題はほんとに間「も」悪い。

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