電気代の一部寄付、ボーダレス・ジャパン「ハチドリ電力」が再エネ拡大にこだわる理由
ボーダレス・ジャパン(福岡市中央区、田口一成社長)の電力小売事業「ハチドリ電力」は、再生可能エネルギーの電気だけを販売する。5日には、電気代の1%を地域貢献に使うプロジェクトを始めた。「気候変動を止めるために事業をしている」と語るハチドリ電力の池田将太事業代表に、再生エネの普及や地域貢献への思いを聞いた。また、委員を務める国の審議会の進行について改善を提案した理由も聞いた。
―再生エネの拡大にこだわる理由は。
「国内の二酸化炭素(CO2)排出量の4割が発電に由来しており、気候変動を止めるには電気が重要だからだ。再生エネを圧倒的に増やすため、企業向けのプランを始めた。企業は社会的責任を背負っており、再生エネを選ぶ理由が明確だ。企業と一緒に再生エネを増やしたい」
―電気代の一部を活用した地域貢献を始めました。
「地元の企業や個人がハチドリ電力に支払う電気代の1%を地域基金に寄付するプロジェクトだ。第1弾が、兵庫県豊岡市の神鍋高原地区だ。気候変動の影響で雪が降らなくなり、スキー場などの観光産業が打撃を受けている。日高神鍋観光協会が地域の脱炭素に向けて活動しており、基金で支援する」
―毎月の電気代から拠出されるため、活動資金を安定して確保できそうです。
「地域課題に根差した民間非営利団体(NPO)などがあるが、財源不足によって活動が大きくならない。電気代からの寄付で年100万円くらい予算が増えると、活動を前進できる。地域の人たちが電気の購入を通じ、再生エネの普及と地元の課題解決に貢献できるコミュニティーを各地につくりたい」
―温室効果ガス(GHG)排出削減目標を話し合う国の審議会で、議論の進め方について提言しました。
「日本の方向性を決める重要な会議であり、企業のリーダーの一人として参加を決めた。ただ、各委員が3分でコメントするだけだと議論ができない」
―どのような進め方が良いと思いますか。
「小グループに分かれて議論して取りまとめた意見を発表し、質疑してはどうか。意見のキャッチボールができる時間の使い方であってほしい」
※取材はオンラインで実施。写真は同社提供。
【記者の目/気候変動解決に誠実な思い】
地元企業は寄付金を出して地域の課題解決に貢献できるが、毎月必ず支払う電気代であれば特別な予算を用意せずに支援を継続できそうだ。池田代表は26歳。国の審議会の委員として異例の若さだが、気候変動問題解決への誠実な思いを持っているから選ばれたと納得した。(編集委員・松木喬)