「eアクスル」10万台規模生産へ…ジヤトコ、AGV導入の狙い
多品種生産に運用
ジヤトコは2025年度に年10万台規模で量産を開始する電動駆動装置「eアクスル」の生産工程に無人搬送車(AGV)を利用した方式を導入する。コンベヤーで行っている作業者間の部品の搬送にAGVを使う。量産開始から3年以内にAGV搬送の体制を整える。ラインの新増設に伴う初期投資を抑えるのが狙いで、10%程度の生産コスト削減につなげる。
蒲原工場(静岡市清水区)の自動変速機(AT)生産ラインの一部で導入しているAGVを使った生産方式を、電動車向けのeアクスルの生産に転用する。汎用性が高く、AGVに載せる部品を変えれば、他機種の生産に対応する特徴もあり、多品種生産に運用ができる。
蒲原工場の製造ラインはアルミニウムフレームの枠(門型)が特徴。門型の中に作業者が1人待機し、ギア、ポンプの組み付けを行っている。作業者間の移動は部品を載せたAGVで搬送する。効率化などコスト削減効果を確認できたことから、eアクスルの生産にも使えるめどが立ったと判断した。
eアクスルの生産はまず日本国内で立ち上げ、メキシコなどに展開する。国内生産拠点とする本社・富士地区(静岡県富士市)にはコンベヤーを使った2ラインを設置し、計20万台の生産能力を持つ。増設するラインからAGVを導入し、順次利用を拡大する考えだ。
ジヤトコは無段変速機(CVT)で世界トップシェアを握るが、CVTは減少傾向が続き、成長のカギを電動化事業に求めている。安定した品質の確保とコストダウンの両立を弾みに、eアクスルは30年度に年500万台の生産を目指している。
日刊工業新聞 2024年12月17日