動作データで車両モニタリング保全、JR西日本が図る検査の革新
JR西日本は車両や設備の動作データを基にして予防保全や検査代替に活用するなどのモニタリング保全を進めている。デジタルデータを用いて検査の革新を図るとともに、故障やトラブルが発生した場合でもデータの共有化で素早い対処を可能にしている。品質の良い車両、設備を永続的に提供することを目指し、安全面での信頼をより引き上げる。
車両の検査代替として列車運行中の機器の動作ごとにデータを活用して検査を行う。従来、検査時に検査担当者が機器を全て動作させて状態や機能を確認していたが、通常の運用時に検査も兼ねることで車両品質と、定期検査など検査時の生産性の向上につながっている。
車輪を正常な状態に削る削正作業に用いる車輪旋盤の状態監視ではリアルタイムで機械状態を把握している。常に状態を把握することでトラブルが発生しても復旧を迅速化できる。故障低減にもつながる。
従来故障が発生する都度対処していた。復旧に時間がかかり、車輪の削正作業計画や車両運用に影響が出る場合もあった。
状態監視では、パンタグラフなどの消耗品の具合を画像データから人工知能(AI)を使ってチェックしている。
車両故障の予兆把握でも活用する。データの変化などを故障の芽と捉えてあらかじめ対処して故障を防ぐ。従来経験豊富なベテラン社員などの経験則に基づいて早めに対処することはあったが、ほとんどの場合は故障が起きてから対処していた。
トラブルが起きた時も、従来は電話でやりとりして対処法の確認などをしていた。データを共有することで迅速に対処し、乗客などへの影響を最小限に抑えることができる。
日刊工業新聞 2024年12月16日