東京エレクトロン・日立ハイテク…「半導体」微細化から集積へ、装置が商機見出す新潮流
半導体業界は人工知能(AI)需要の勃興に起因して、新たなテクノロジーの導入に入る。今後3次元(3D)構造のデバイスや先進後工程「アドバンスドパッケージ」が普及していく。製造装置メーカーはこうした潮流に商機を見いだす。半導体の国際展示会「セミコン・ジャパン2024」で最前線を追った。(小林健人)
東京エレクトロンは半導体を垂直方向に集積する3D実装向けに、接合した2枚のシリコンウエハーに対し、上部のウエハーと集積回路をレーザーで剥離する装置「Ulucus LX」を出展した。ウエハー同士を貼り合わせて高集積化する3D実装は回路の微細化と同様に重要な技術になる。これまでの3D実装では貼り合わせた上部のウエハーを研削して除去する必要がある。東京エレクトロンの同装置は裏面研削や研磨など、複数のプロセスを1台で行える。研削加工時に必要だった純水の使用量も90%以上削減できる。
日立ハイテクは200層以上を積層した3DNAND向けに、これまでよりも高い60キロボルトの高加速電圧で計測する測長SEM(走査型電子顕微鏡)「CV7300」を出展。積層化が進む3DNANDに対し、メモリーセルの上部から下部まで見渡せるようにした。今後、300層以上に進展する見込みだが、同社は「技術で追従していく」とする。
これまで半導体の性能向上を支えてきた微細化は、その技術進展に鈍化が見られる。それでもなお半導体の性能向上を目指すため、導入が進むのがデバイス同士を縦や横に密接に接続するアドバンスドパッケージだ。
ニコンは26年度にも市場投入する後工程向けの露光装置を紹介した。現在主流の300ミリメートルシリコンウエハーのパッケージではなく、600ミリメートル角のパネルパッケージに対応する。半導体とフラットパネルディスプレー(FPD)の露光技術を掛け合わせる。
キヤノンは好調な後工程向けのi線露光装置など、複数の製品を展示した。三浦聖也執行役員は「後工程向けにはウエハーとパネルの両方に対応した製品を用意している」と話し、需要開拓に余念がない。
微細化への対応が主だった半導体製造装置だが、今後はアドバンスドパッケージなど、多くの要望に応える「全方位作戦」が求められそうだ。
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