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PFAS規制にらむ…名古屋大などがフッ素使わず「燃料電池の電解質膜」作製、伝導率4倍

PFAS規制にらむ…名古屋大などがフッ素使わず「燃料電池の電解質膜」作製、伝導率4倍

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名古屋大学の野呂篤史講師と高輝度光科学研究センターの岩本裕之副主席研究員らは、フッ素を使わずリン酸を用いて燃料電池の高分子電解質膜を作製した。120度C・相対湿度20%の運転条件で1センチメートル当たり1・1ミリジーメンスと伝導率が4倍になった。燃料電池部材がPFAS(有機フッ素化合物)規制の対象になった際の材料設計指針になり得る。

リン酸に近く、親水性の高いホスホン酸基を用いて電解質膜を作製した。ホスホン酸基は高分子の主鎖に直接つけると水に溶けやすくなる。そこで高分子の主鎖に疎水性の側鎖を設け、その先にホスホン酸基を配置した。

高分子全体としては疎水性を保ち、ホスホン酸基が側鎖の長さ分だけ自由に動ける。ホスホン酸基を介して水素イオンが伝導しやすくなる。実験では伝導率は1センチメートル当たり1・1ミリジーメンスだった。市販品の4倍になる。

従来はフッ素で撥水(はっすい)性を高め、スルホン酸基で伝導性を担保していた。新材料は電解質膜がPFAS規制の対象になった場合の選択肢になり得る。

日刊工業新聞 2024年12月12日

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