歩ける足裏触覚デバイス、豊橋技科大が開発
豊橋技術科学大学の中村純也大学院生と北崎充晃教授らは、歩ける足裏触覚デバイスを開発した。スキー靴のように足裏にセンサーと振動子を固定する。深雪を踏む振動を提示すれば雪の中を歩いているような触感を得られる。従来は振動プレートの上に立たせて刺激を提示するなど移動範囲が限られていた。実際に歩けると表現の幅が広がる。仮想現実(VR)に提案する。
足裏にロードセルを六つ配置して重心の位置や地面を蹴る力を計る。前後左右への移動を片足ごとに計れ、蹴り出しの強さから利き足などを推定できる。この両足の使い方に応じて振動を提示可能。深雪に足が沈む際の振動を計測しておき、再生すると雪中を歩いているように感じる。
芝生や砂利道などの足が接地した瞬間に触感を感じる地面に対して、深雪や沼などは深さ方向で触感が変化する。足裏にかかる力を測りながら振動を調整すると触感がリアルになると見込まれる。
デバイスはスノーボードの固定具を利用し、電池や無線、振動子など、すべて市販されている部品で構成した。設計図や作り方は公開する。3Dプリンターがあれば誰でも作れる環境を整える。
触覚機器は感度の高い手を中心に実用化されている。足への提示は歩行体験の価値を高めるが装着すると歩きにくくなる課題があった。
日刊工業新聞 2024年12月10日