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カツロン、15年も休眠状態のBASF製素材を蘇らせる!

熱可塑性ポリウレタン樹脂を押出成形。紙おむつ用にはない反復吸水機能を生かす
カツロン、15年も休眠状態のBASF製素材を蘇らせる!

既存生産ラインで押出成形できる熱可塑性ポリウレタン樹脂

 カツロン(大阪府東大阪市)は、BASFジャパン(東京都港区)製の吸水・膨潤する熱可塑性ポリウレタン樹脂の用途開拓に乗り出した。15年以上にわたりBASFで休眠状態にあった素材だが、押出成形の素材としてはユニークと着目し、広く用途を探ることにした。

 熱可塑性ポリウレタン樹脂の吸湿性を高めた仕様。BASFジャパンは浄水施設用の担体として2000年以前に開発したが、途中で需要見込みがはずれ、以後は社内で休眠になった。2015年に入り取引先のカツロンと、土木止水用で適当な材料を探索する中で、同樹脂に光が当たったという。

 これまで押出成形は試していなかったが、カツロンが既存生産ラインで押出成形できることを確認し、成形品であらためて用途を探ることを決めた。

 同樹脂の吸水量は元の体積の10倍程度と、紙おむつに使う高吸水性樹脂(SAP)より小さい。押出成形ができ、吸った水を時間をかけて気化放出し、吸水機能を反復して使える点はSAPにない特性。「押出成形で吸水機能のある材料は今まで知らなかった。まず15年度は足がかりの実績を作
る」(カツロン)としている。

 同樹脂の成形品は通常の熱可塑性ポリウレタン品と比べ弾性が低い。ニーズを見て物性改質などにも取り組む。
日刊工業新聞2015年04月28日 素材・ヘルスケア・環境面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
15年以上使われなかった素材に再びスポットライトが当たるという話。実はこういう技術シーズは企業や研究機関などにたくさんあって、ニーズとうまくマッチングできていないというケースは多そう。新技術の開発も必要だが、用途といかに結びつけて製品化にこぎ着けるかが必要なんだと思う。

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