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新型コロナ、細胞内増殖の仕組みが解明された意義

京大など、創薬開発に期待
新型コロナ、細胞内増殖の仕組みが解明された意義

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京都大学の野田岳志教授らや理化学研究所などの研究グループは共同で、感染細胞内で形成された新型コロナウイルスの子孫ウイルス粒子が細胞外に放出される仕組みを解明した。「COPI複合体」と呼ばれるたんぱく質複合体が、感染細胞内での子孫ウイルス粒子の輸送に重要な役割を担うことが分かった。COPI複合体を標的とした新型コロナウイルスの創薬開発につながると期待される。

新型コロナウイルスは感染細胞内で増殖する際、小胞体とゴルジ体の中間に存在する小胞小管クラスターで子孫ウイルス粒子を形成する。子孫ウイルス粒子は小胞を介して細胞表面へ輸送され、細胞外に放出された後、次の標的細胞に感染する。今回、免疫電子顕微鏡法など複数の手法を用いて新型コロナウイルス感染細胞の微細構造を3次元的に解析。子孫ウイルス粒子を輸送する小胞にCOPI複合体が結合していることを突き止めた。COPI複合体の機能を阻害すると、新型コロナウイルスの産生が著しく抑制されることも分かった。

日刊工業新聞 2024年12月04日

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