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ファナック連合「つながる工場」の基盤を16年度中に提供

PFN、シスコ、ロックウェルと共同開発。富士通とも協業予定
ファナック連合「つながる工場」の基盤を16年度中に提供

複数のロボットが協調して動作を学習

 ファナック、プリファード・ネットワークス(PFN、東京都文京区)、米シスコシステムズ、米ロックウェル・オートメーションは18日、工場用モノのインターネット(IoT)基盤「フィールド・システム」を共同で開発し、2016年度中に提供開始すると発表した。ロボットや工作機械の稼働データなどをクラウドに集約せず、現場側の機器で処理する仕組み。情報安全性、高応答性などを確保しつつ、IoTによる製造革新を実現するシステムとして利用を促す。

 シスコの技術で中継機器に解析アプリケーションなどの実行機能を持たせ、現場側でデータを処理できるようにする。「中間層で処理することでセキュリティーや信頼性を担保し、クラウドのコストも最小限に抑えられる」(稲葉善治ファナック社長)という。

 まずはファナックのロボット用遠隔監視システム「ゼロダウンタイム機能(ZDT)」に適用し、稼働データを効率的に収集・活用できるようにする。また、PFNの人工知能(AI)技術やロックウェル・オートメーションのデータ解析技術を生かし、不具合の正確な予測、ロボット同士の協調なども実現したい考えだ。

 基盤は開放型で他社のセンサー、周辺機器なども接続可能。複数の機器メーカー、システム構築(SI)企業などに協力を呼びかける方針だ。SI企業では富士通などとの協業を予定している。
日刊工業新聞2016年4月19日 機械・ロボット
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
1月に日本でも発表されたファナック、PFN、シスコのZDTはシスコのセキュアネットワークを通じてクラウド側で複数工場の稼働状況を把握して、ダウンタイムを0にするソリューションだった。今度はシスコが提唱し、昨年11月にオープンフォグコンソーシアムとしてデファクトを目指すエッジ側コンピューティング "フォグ" を活用した超リアルタイムビッグデータ処理を目指す。 超リアルタイムかつビッグデータは全部クラウドに上げて処理しようとするとリアルタイム制御できないため。IoTの世界はこれまでのクラウドによる集中処理に加え、このような分散処理系が必須の時代。なんでもクラウドにあげるのではなく、データの利用用途と対照オプジェクトの動作ニーズに応じてエッジ側での処理を行うことも重要。

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