COから「カーボンブラック」大量合成、東京科学大がプラズマ技術で新手法
東京科学大学のシャオゾン・チェン博士研究員と野崎智洋教授らは、プラズマ技術で一酸化炭素(CO)からカーボンブラックを大量合成する手法を開発した。合成温度は約600度Cと低いが1000度C以上で合成するカーボンブラックよりも結晶性が高い。導電性が高いため、二次電池や燃料電池などの電極材料に提案していく。
非平衡プラズマで電子温度のみを数万度に昇温して化学反応を進める。触媒の鉄酸化物が鉄に部分還元されて一酸化炭素をカーボンブラックと二酸化炭素(CO2)に変換する。合成温度は600度C。温度が下がると収率は向上するが、反応速度と結晶性が下がる問題があったが、プラズマ利用で両立させた。
実験ではコイル状に巻いたカーボンブラックが生成された。触媒表面でカーボンブラックが生成する際に偏った力が発生していると見られる。湾曲構造によって比表面積や接着強度が向上すると期待される。コイル状カーボンブラックでリチウムイオン電池電極を試作すると従来品よりも性能が向上した。
日刊工業新聞 2024年12月03日