村田製作所が新中計、売上高2兆円超目指すも営業利益率を下方修正するワケ
AIサーバー向け照準
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村田製作所は25日、2027年度に売上高2兆円以上、営業利益率18%以上を目指す新中期経営計画を発表した。足元で需要が急拡大する人工知能(AI)需要を、エッジ(現場)デバイスや自動車、ITインフラといった幅広い分野向けの電子部品で取り込む。また環境や、医療機器などのウェルネスを挑戦領域に位置付け、事業拡大を図る。
中島規巨社長は「人々が多くのウエアラブルデバイスやエッジデバイスを持ち、クラウドに情報が上げられ、AIが判断する世界が必ず来る」と展望。AIサーバー向けの小型大容量なコンデンサーや電源モジュールを伸ばす考えだ。モビリティー領域では信頼性が高く大容量化した製品の需要に対応する。
24年度までの現中計では営業利益率20%以上を掲げたが、積層セラミックコンデンサー(MLCC)でボリュームゾーン対応が必要なことを踏まえて目標を下方修正する。中島社長は「社内でもボリュームゾーンは日本メーカーの仕事ではないと思われかねない。競合が大量生産すると、技術のキャッチアップも加速度的に進む」と危機感を示した。
基盤となる部品やデバイス、モジュールにソフトウエアやソリューションを加えた事業では、自社実証をショーケースとし、外販していく。30年度に売上高1000億円を目指す。生産現場における予知保全を実現する振動センサーなどが有望とみている。
次期中計期間の3カ年では、計1兆3000億円の営業キャッシュフローのうち、M&A(合併・買収)や環境、ITインフラなどの戦略投資に現中計比約2・4倍の2200億円を充てる。
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日刊工業新聞 2024年11月26日