皮膚に貼り付けてディスプレーに―東大、薄くて曲がる有機LEDを開発

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試作した薄型有機LEDディスプレー
 東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫教授と横田知之講師らの研究グループは、厚さ3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)と薄く柔軟な有機発光ダイオード(LED)を開発し、大気中で安定に動作させることに成功した。皮膚に直接貼り付けられるため、人の肌を簡単にディスプレーに変えられる。米サイエンスアドバンス誌電子版に掲載された。

 高性能な有機LEDを、生体適合性に優れる厚さ1マイクロメートルの高分子フィルム(パリレン)上に作製した。素子全体の厚みは、人の皮膚表皮の約10分の1と薄い。くしゃくしゃに折り曲げても特性を維持する柔軟性を持つ。

 開発した有機LEDは、ガラス基板上に作製した既存の素子とほぼ同等の性能を持つ。高分子材料を発光層に用いたLEDとしては、世界最高水準の特性(外部量子効率と輝度)を示す。

 今回、水や酸素の透過率の低い保護膜を薄い高分子フィルム上に形成し、さらに、透明電極の酸化インジウムスズ(ITO)を高品質に成膜する技術を開発した。これにより、大気中で安定に動作させることができた。

 高分子フィルム上に作った有機素子は、生体との密着性に優れ、装着感がほとんどないウエアラブルデバイスとして応用が期待されている。これまでに有機トランジスタ集積回路などが開発されているが、有機LEDなどの有機光素子は従来、大気中で安定に動作させることが困難だった。

 実際に、有機LEDと有機光検出器を高分子フィルム上に集積化し、運動中の血中酸素濃度や脈拍数を計測して皮膚に貼り付けたディスプレーに表示できることを確認した。

 科学技術振興機構のプロジェクトの一環で開発した。

日刊工業新聞2016年4月18日 科学技術・大学面

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

くしゃくしゃにしても大丈夫ということが面白そう。用途の幅がかなり広がりそうです。

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