自動運転・歩行領域モビリティ…大阪メトロ・阪急バスなど、先端移動技術実証進む
大阪メトロや阪急バス(大阪府豊中市、三田和司社長)、OpenStreet(東京都港区、工藤智彰社長)が、自動運転や歩行領域モビリティーなど新技術の実証を進めている。大阪メトロや阪急バスは2025年大阪・関西万博の開催期間での自動運転バス運行をにらむ。大阪メトロの河井英明社長は「30年までに(特定条件で自動運転する)レベル4で社会実装する」と意気込む。モビリティーシェアシステムを手がけるOpenStreetは、小型1人乗りモビリティーの無人シェアリングを行う。
大阪メトロは運転手が乗車する条件下での自動運転「レベル2」で路線バスの運行を11月に大阪市で始めた。同社が11月末に大阪市内で先行開業する未来モビリティー体験型テーマパークへのアクセス向上も図る。システム調整で手動運転した期間もあったが、将来のレベル4走行を見据える。
万博会場では小型電気自動車(EV)バス3台程度をレベル4相当で運行する。走行中給電も行うなど大規模な実証にする。
地下鉄については「バスと同じ時間軸で開発する」(河井社長)とし、バスと並行して技術の確立を目指す方針。「大阪全域で一定のサービス、モビリティーでネットワーク化し、圧倒的に便利になるようにする」(同)と強調、高齢化社会に対応しつつ地域発展に貢献する考えだ。
阪急バスは万博期間中に新大阪駅と万博会場を結ぶシャトルバスの一部区間の自動車専用道で大型EV高速バスを運行する。運転士は乗務するが技術的にはレベル4を目指し、実験と調整している。
万博での輸送に用いて自動運転の社会受容性の醸成を目指す。また充電にはバイオディーゼル燃料の発電機を活用、脱炭素化を推進する。
列車の自動運転は、南海電気鉄道が23年に和歌山港線で始めた。高機能の自動列車運転装置(ATO)を採用、連続的に情報を取得できる自動列車制御装置(ATC)ではなく自動列車停止装置(ATS)を用いた路線でも自動運転できるようにした。係員付き自動運転の実現を目指す。
OpenStreetは堺市の高齢化が進む団地で歩行領域モビリティーの無人貸し出しを12月下旬まで行う。運転免許が不要な新たな移動手段として住民の利便性向上を図る。
各社は人口減や少子高齢化、人員不足への対応を進め、持続可能な交通手段を目指す。