4月18日15時更新【熊本地震・企業動静】サントリー熊本工場、再開に1カ月以上

協力工場で増産対応。その他、機械、電機、化学・素材、医薬などの動向も

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徐々に各企業の対応策が明らかに(消防庁災害対策本部提供)
【機械】
●ナカヤマ精密
 熊本工場(熊本県西原村)とテクニカルセンター(熊本県菊陽町)の両工場が共に大きな被害を受けた。「最初の地震で平面研削場がベースから落ち、放電加工機の加工油がこぼれるなど被害が出た。二度目の大揺れで工場建物も大きく被災した」(坂田和文熊本工場長)。同社は大阪市に本社がある超精密加工メーカー。
●トラスコ中山
 熊本支店(熊本市中央区)の業務継続が困難だと判断し、同支店を佐賀県鳥栖市の物流拠点に一時移転した。熊本市に「レンタルボックス」を借り、商品の引き取りができるようにもした。交通渋滞などで熊本市内で納品遅延が生じている。同支店の従業員7人は全員無事だった。

●コーヨー(熊本市南区)
 「建物も中の機械も大きな被害を受けた。アンカーを打っていなかった機械類は50-60センチメートルも動いた。装置類は稼働させないとわからないが、精度調整の必要があるのでメーカーに依頼しないといけない。復旧には時間がかかるだろう」(岡博司常務)。工作機械器具メーカー。

●堀場エステック
 阿蘇工場(熊本県西原村)の高圧受電設備が破損し、工場施設と生産設備に通電できない。その他の設備についても、被害状況を確認中。建物は内部の壁、天井の一部が落下したが、損傷・被害は限られている。18日から一部従業員が出社し設備の点検や復旧作業に当たっているが、生産再開は未定。同工場で生産している検査試薬は流通在庫などを振り向け供給。半導体工場向けマスフロー・コントローラーなどは、京都本社や海外グループ会社工場などに生産振り替えなどを行い対応する。

●ローツェ
 16日未明に発生した「本震」や余震の影響で九州工場(熊本県合志市)の天井や壁面が崩落したため、九州工場での業務を一部停止した。当面、本社工場(広島県福山市)で搬送機器などの生産を代替する。

【電機】
●古河電工
 ネットワークケーブルを生産するグループ会社の工場(上益城郡甲佐町)が稼働を停止し、生産設備を確認している。復旧時期は未定。被災した従業員の一部が避難中。

●フジクラ
 電力関係部品のらせん状成形品の製造販売するグループ会社(菊池郡大津町)が稼働停止した。建屋の壁が一部損傷し、生産設備と製造ラインを確認中。再稼働の時期は未定。従業員の安全は確認した。代替生産を検討中。

●パナソニックプレシジョンデバイス(熊本県和水町)
 建屋などに生産の支障になる被害がないことを確認した。18日は従業員が出社を再開した。生産設備の安全を確認しながら復旧を進め、可能な工程から生産再開する予定。

●天草池田電機(熊本県上天草市)
 16日未明の揺れで天井の一部がはがれ落ちた。従業員の一部を避難させており、今後の納期への影響を懸念している。自動制御装置や通信機を製造。

【食品】
●サントリーホールディングス
 ビール、清涼飲料を生産する九州熊本工場(熊本県嘉島町)で、設備点検のため稼働を停止。大規模な余震が続いており「再開には1カ月以上、かかる見通し」(同社)という。停止中の製品供給はミネラルウオーター、ビールについては国内の他工場で増産をすでにスタートした。緑茶飲料の「伊右衛門」や缶コーヒー「BOSS」などの一般飲料は、他工場および協力工場の増産で対応する考え。
●コカ・コーラウエスト
 熊本工場(熊本市南区)は生産ラインを停止している。建屋や設備に大きな影響は見られないが、16日未明の揺れを受けて復旧時期を検討中。
●三和酒類(大分県宇佐市)
 本社工場(同)、安心院葡萄酒工房(同)、日田蒸留所(大分県日田市)ともに工場稼働に支障がある被害はなかった。18日は通常操業。ただ今後の商品出荷に懸念が残る。東九州自動車道の一部が通行止めになっているためだ。さらに運送会社、納品先が受け入れ可能かどうかといったこともあり、情報収集を急いだ。

【化学・素材】
●大阪製鉄
 異形棒鋼などを生産する西日本熊本工場(熊本県宇土市)は、18日14時時点で生産を停止。まだ余震などが続いており、停電・断水中にある。安全面から建屋に入ることを禁止しており、余震などが収まり次第、詳細調査を行い、再開の時期を判断する。建屋の外壁や屋根の一部が崩落し、電気設備の一部が損傷。製品出荷関連設備のクレーンなどの被害の詳細は不明。従業員は家族も含め全員の安全を確認した。
●東京応化工業
 液晶ディスプレー用フォトレジストの主力工場である阿蘇工場(熊本県阿蘇市)は停電中。建屋に目立った被害はなく、復旧に向け生産設備の点検を継続。本社に対策本部を設置。
●日本製紙
 16日未明の本震で新聞・印刷用紙などを生産する八代工場(熊本県八代市)の抄紙機4台すべてを止めたが、18日夕方から順次、再稼働している。14日夜の前震時も4台すべてを止め、15日夜までに再稼働させていた。
●日本合成化学工業
 液晶パネル向け偏光板無け主要材料「OPLフィルム」の主力工場である熊本工場(熊本県宇土市)で、16日未明の本震により大きな被害が発生。現在、被害状況の詳細を調べている。工場操業再開の見通しは立っていない。人的被害はなし。
●JNC
 液晶や電子材料を生産する水俣事業所(熊本県水俣市)は安全のため一部の生産設備を停止したが、18日11時時点で生産に影響はない。ただ九州全域で道路事情が悪化しているため、原料調達や製品の出荷が滞る懸念が出ている。
●富士フイルム九州(熊本県菊陽町)
 液晶ディスプレー用材料を手がける設備の被害を確認中で生産は停止したまま。15日時点で16日から順次再開を予定したが、本震の発生により再開時期は未定となった。16日に停電したが復旧し、断水はしていない。交通網の被害を踏まえ、原料調達や製品出荷への影響を調査中。

【医薬・化粧品】
●再春館製薬所(熊本県益城町)
 18日に工場とコールセンターの従業員の出社停止措置をとった。社員の心身優先のため。出社可能な有志社員が従業員安否などの確認作業を行っている。稼働を停止した工場(熊本県益城町)の再開の見通しは立っていない。14日夜の余震に加え16日未明の本震で生産設備の損傷はさらに広がった。通信販売の注文受け付けは15日午後から停止しており、現在は「受発注システムの稼働状況を確認している」(同社)状況だという。商品の配送にも遅れが出ている。
●エーザイ
 熊本コミュニケーションオフィス(熊本市中央区)で医薬情報担当者(MR)の活動を一時的に取りやめた。従業員に被害はないものの、安全を考慮した。オフィスにも被害はなく、数人が出社して情報収集などを実施中。自宅待機中の従業員もいる。
●アステラス製薬
 熊本営業所(熊本市中央区)での営業を取りやめた。期限は未定。施設や人員に被害はないものの、従業員の安全を考慮した。
●協和発酵キリン
 熊本営業所(熊本市中央区)で営業を停止した。入居しているビルが損壊し、立ち入りができなくなったため。25人の従業員は全員無事だが、自宅待機または福岡県などへの避難をしている。
●化学及血清療法研究所(熊本市北区)
 18日から20日までを臨時休業とした。複数の建物や施設に被害が生じており、詳細な被害状況の確認・調査を必要とすることや、余震が続いていることなどを踏まえて決めた。

【金融】
●肥後銀行
 味噌天神支店など熊本市内3支店と熊本県益城町の2支店を臨時休業とした。それ以外の店舗は営業しているが停電などによりATMが使えないところがある。

日刊工業新聞電子版2016年4月18日

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

サントリーの場合、ほかの工場でも対応可能ですが、半導体や代替の効かない部品が必要な自動車はどうなるか。

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