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NECトーキン、医療機器向け電磁石に参入

医療機器メーカーの外部調達ニーズ高まる
NECトーキン、医療機器向け電磁石に参入

粒子線治療装置のイメージ(北海道大学病院陽子線治療センター、日立製作所)

 NECトーキン(宮城県白石市)は、粒子線治療装置の中核部品である電磁石の製造販売事業に参入した。加速器用電磁石の製造ノウハウを有しており、この分野で培った技術を医療分野に生かす。同装置は国内外で設置数が増加し、今後も需要拡大が期待できる。今回の事業参入により2018年頃までに医療機器事業の売上高を従来の数億円規模から30億円程度まで引き上げる。

 NECトーキンは仙台事業所(仙台市太白区)に電磁石を生産する体制を整えた。すでに大手医療機器メーカーからがん治療装置用として複数の電磁石を受注し、本格的な生産に着手した。電磁石1個当たりの価格は、数百万円から数千万円程度とみられる。

 がん治療に使う粒子線装置は、加速器で加速した重粒子線や陽子線などをがんにピンポイントで照射する。電磁石は重粒子線や陽子線を加速させたり、方向を調整したりするのに欠かせない部品で、治療装置1台当たりに複数個搭載される。

 これまでは医療機器メーカーが電磁石を内製するのが主流だった。ただ今後は治療装置の設置数増加に伴い内製化が困難になり、信頼性の高い電磁石の安定供給ニーズが高まる見通し。外部企業に製造委託する医療機器メーカーが増えると予想される。

 NECトーキンは研究機関が使う加速器用電磁石など既存事業で培った材料開発技術や加工技術を生かし、こうしたメーカーの需要を取り込む考えだ。NECトーキンの15年3月期の売上高は536億円。車載用小型リレーやスマートフォンに搭載するノイズ吸収シートといった高機能部品をメーンに手がける。

 近年は医療やエネルギーといった成長分野の開拓を強化しており、今回の事業参入もその一環となる。医療機器分野では電磁石のほか、ステントやカテーテルに使う形状記憶合金「メモアロイ」などを手がけている。
日刊工業新聞2016年4月12日電機・電子部品
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
重要部品を内製化してスタートするのはハイブリッド車などを同じ。機器メーカーが外部調達を加速させるのは普及期に入った証かもしれない。ただ単価が高額とはいえ、自動車のように量がでるデバイスではない。収益への貢献は?

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