三菱電機と東京科学大学の早川晃鏡教授らは、低温蓄熱ゲルを開発した。蓄熱密度は１リットル当たり５６２キロジュールと、市販材の２倍に増えた。世界最高になる。水と高分子で構成されるため燃える心配がない。３０―６０度Ｃの廃熱回収・再利用に提案する。低温廃熱は蓄えることが難しく大部分が捨てられている。活用の道が開けると脱炭素につながる。

低温では親水性、高温では疎水性になる高分子を蓄熱材に利用する。低温では高分子内部に水を取り込み、水分子が水素結合で規則的に並ぶ。水分子のエネルギー状態は低く保たれる。

温度が上がると高分子が疎水化し、高分子から水分子が排出される。高分子内部は分子群が混雑した環境となり、規則的に並べなくなる。すると水分子のエネルギー状態は高くなり、多くの熱エネルギーを蓄えられる。

蓄熱密度は１リットル当たり５６２キロジュールで、市販パラフィンの同２６０キロジュールの２倍以上になった。温水蓄熱は同１２５キロジュールのため４倍近くになる。大量合成にも成功。食品加工や温浴暖房装置などの３０―６０度Ｃの熱を使うシステムへの応用が期待される。