輸出船契約、10月は70%減も受注良好…「24年度の受注量1000万総トンが視野」
日本船舶輸出組合(JSEA)が12日発表した10月の輸出船契約実績によると、受注量を示す一般鋼船の契約は前年同月比70・9%減の68万7400総トンで2カ月連続で前年同月を下回った。一方、原材料コストの船価への価格転嫁が進むなど受注環境は良好で、4―10月の輸出船受注量は740万2210総トンとなり、「2024年度の受注量1000万総トン到達が視野に入ってきた」(業界関係者)状況だ。
受注隻数は16隻で前年同月から8隻減となった。船種別は一般貨物船2隻、自動車運搬船1隻、バラ積み船はハンディ型3隻、ハンディマックス型4隻、ケープサイズ型3隻、油送船はケミカル船3隻となった。中東情勢の悪化の影響で紅海を避けて、南アフリカ・喜望峰へ迂回(うかい)するルートを選ぶ貨物船の増加に伴う貨物船需要の伸びは継続している。
10月の通関実績は19隻、62万3805総トン。これにより、受注残を示す手持ち工事量は637隻、3000万8977総トンだった。手持ち工事量は3・3年分にあたる高水準が続いており、業界関係者は「日本国内では船台が埋まっている状況」と語る。
24年度4―10月受注分の納期別内訳は、25年度が2・6%、26年度が19・4%、27年度が48・5%、28年度が26・0%、29年度が3・5%となっている。
国際船級協会連合(IACS)が定めた船舶のサイバーセキュリティーに関する2つの統一規則(UR)が7月の建造契約船から適用されることを前にした駆け込み需要が6月にあったが、今後「サイバーセキュリティーに関する2つのUR対応への需要が出てくるかもしれない」(同)という。
日刊工業新聞 2024年11月13日