住友電工・フジクラは過去最高へ…電線大手4社の通期見通し、米大統領にトランプ氏再選の影響は?
電線大手4社の2025年3月期連結業績予想が12日までに出そろい、全社が増収営業増益を見込む。生成人工知能(AI)の普及に伴うデータセンター(DC)向け製品が活況を呈し、電力インフラ向けも好調に推移する。自動車関連は電気自動車(EV)の動向に懸念が残るほか、米国大統領選のトランプ氏再選も各社の事業に影響を与えそうだ。
売上高と各利益段階で過去最高更新を狙うのは住友電気工業とフジクラ。住友電工は自動車のワイヤハーネス(組み電線)が堅調なほか、電力線と通信ケーブル・機器も需要が旺盛。フジクラは工数短縮などが可能な光ケーブル・光コネクターといったDC向け製品が継続して伸びる。
ただ、住友電工は中東の紛争リスクや欧州・中国経済の停滞から、売上高予想を8月公表値から500億円引き下げた。特に影響を受けるのはEVの動向で、井上治社長は「ワイヤハーネスはEV用の需要が減っている。中国製EVの攻勢を受けている欧州では、需要予測を当初より低めに見積もった」と明かす。SWCCもxEV(電動車)向け高機能製品は、下期も調整局面が続くと見込む。
トランプ氏が次期大統領に就任する米国の経済政策も各社は注視する。住友電工はメキシコで生産する車用ワイヤハーネスについて、米国と自由貿易圏のため影響しないとみる。また、同氏が掲げる米国第一主義に対して、フジクラの岡田直樹社長は「米国での売上比率が昨今高まっており、ビジネス拡大の期待感がある」と話す。
一方、古河電気工業の森平英也社長は「プラスの影響もマイナスの影響も混在する」と静観。情報通信ソリューション事業は、北米テレコム市場の本格回復を26年3月期と見込む。DFB(分布帰還型)レーザーチップといったDC関連製品の需要を取り込み、テレコム市場の復調に備える。